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ひろぽん小石川日乗

心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくれば

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「ひろぽんの南イタリア旅行記」はこちら。

2010-01-05 (Tue)

[movie] 「牛の鈴音」

私の周辺でクチコミで評判が広がっていたので、年末にSとの映画会のお題にした。オフィシャルサイトはこちら

韓国・慶尚北道ののどかな農村。老いた農夫は、いまでも牛を使って田んぼを耕している。もう40歳になる老いぼれ牛だ。いまどき、韓国でも耕作牛は珍しいかもしれない。実際、隣家の水田ではトラクターやコンバインが威勢よくエンジン音を鳴らしている。当地でも失われゆく農作業のスタイルなのだ。

老夫婦の表情と会話がいい。老婆は「こんなところに嫁に来るんじゃなかった。厳しい農作業で、もう体はボロボロだよ」とグチを言う。それはまるで老牛の呟きを代弁するかのようでもある。しかし、その奥底には連れ合いへの深い愛情も隠されている。

長年使役した牛がいよいよ余命1年となる。老婆は市場で売ってしまえといい、老爺も一度は売りに往くのだけれど、買い手がつかずというか、処分する決断がつかず、またトボトボとその牛車に乗って村まで帰ってくる。韓国版「ドナドナ」。

その牛がなければ、畑を耕すことができず、一家が暮らしていくこともできなかった。それだけに愛着と信頼がある。そのことは今は都会に出て、年に一度帰省するだけの子供たちにもわかっている。しかし、農夫の牛への思いは格別だ。そうしたたぐいの家畜への感情は、彼らの世代が亡くなれば、おそらく同じ形で蘇ることはないだろう。だからこそ、ドキュメンタリーとして残す価値があった。

農夫は老いぼれ牛の代わりに、子どもをはらんだ若い雌牛を一頭飼い始める。食欲旺盛な若い牛に牛舎を占領されて、恨めしそうにそれを見やる老牛の表情がいい。むろん人間の側の感情移入があるからそう見えるのだが、その瞳はまさに“老愁”を帯びている。こぼれ落ちる涙まで、カメラはしっかりと捉えている。

やがて老牛は農夫に看取られながら寿命を全うする。春めいた季節に老夫婦が丘に登り、牛の墓参をする冒頭のシーンがあらためて思い出される。奇跡のように美しい、人と家畜の関係だ。

銀座のシネパトスで見終わった後、思わず拍手してしまった。人であれ牛であれ、ともにやってくる老い。老いるという過程のなかに、どんな幸せの形を見いだすべきなのか。それを私は映像のなかに求めていたのかもしれない。

2009年に見たドキュメンタリー(そんなには観ていないけど)の中では、ベストワン。50歳以上の夫婦割引でぜひどうぞ。

[life] 2010年年賀状

すいません、いま作ってます(^.^;

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ Y氏 [そば屋出前?(笑)]


2010-01-07 (Thu)

[media] NHKの話

酔っぱらってしまって、誰とどこで話したのかわからなくなってしまったのだけれど、福山雅治主演の坂本龍馬の時代劇は、見る前に萎えるという話。いや、ちゃんと批評するためには見なければならんのだけれど、そもそもワシは坂本龍馬に感情移入できない。そもそも福山の芝居は素人に毛が生えた程度じゃん。さらに、NHKが年末、異常なまでの番宣体制を敷いていたので、よけいメゲたです。

日清戦争まではよかったけど、後がダメでしたみたいな、ご都合主義史観の司馬遼太郎ドラマも、もういい加減にしてもらいたい。

そうか、だからNHKの受信料払いたくないのよというバーのマダムとの会話だったか。でも、それとこれとは話が別でしょうと、まるでNHK受信料集金人のように、「NHKは市民が支えるメディアなのだ」などと説得バトルの私だったのだなと、いま思い出した。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ga [坂本龍馬に感情移入できない人って、肩身狭いよね。 私は、司馬遼太郎が駄目で、当然龍馬も駄目です。 よかった、そう..]


2010-01-22 (Fri)

[life] Twitter

にはまると、ブログ更新がおろそかになるというのは定理だろうか。Twitter には利点もあるけれど、いろいろ限界もあるわけで、ほんとは併用するのがいいのだろうが、人の発想と時間資源は限られるから、どうしても偏りが生まれてしまう。

といいつつ、ここんところバタバタしていて、あんまりツィートもしてないんだけれど。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ Y氏 [ブログだけじゃなくって色んなモノがおろそかになるような気がするけどねぇ...]

_ 長官 [どきっ あ、私は昔から色々おろそかだから一緒か。]

_ yu [その昔、みんながブログを始めて、ML が静かになったのも同じですな。 以前は ML に日記に書くような近況をけっこ..]


2010-01-24 (Sun)

[life] ちょっとだけお散歩

ぷらぷらと千川通り、植物園あたりをお散歩していたら、迷い込んだ白山の住宅地で、「金井直詩料館」という小さな表札を掲げた民家をみつけた。

金井直(かない・ちょく)は1957年にH氏賞をとり、50〜70年代に活動した詩人のようだが、私の記憶にはほとんどなかった。おそらくこの街に何らかの縁があって、ここはその業績を残している施設なのだろう。あいにくその日は詩料館は休みで中に入ることはできなかったが、窓越しに詩篇の一部が読める。

Kanai_Tyoku

「夏の焦げる匂い」のなかで、詩人は言いようのない「かなしみ」を抱えている。何が悲しいというのだろうか。

おいらは、よく晴れた冬の日の、午後の光線が去りゆくなかを歩いていく。

E1241927

E1241943

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ ga [お散歩いいですねえ。 原稿もお忘れなく。]

_ りょ [その詩料館の通り挟んだトコが我が家ですw]

_ Y氏 [そんなことバラしたら今度襲撃するぞ(笑)]


この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。