昨日の深夜、久しぶりに小石川のバーに顔を出したら、客は誰もいず、手持ちぶさたのママが iPhone で YouTube を見ながら、ひとりほくそ笑んでいた。これまでインターネットなんて...とバカにしていたというか、尻込みしていた人なんだけれど、 iPhone を買ったらYouTubeが手元で見られるから、がぜん楽しくなった、と。
でも、それだけお店がヒマってことかなあ。
谷山浩子とか、あとなんだっけ、昔のアニメとか、無理矢理見せられた。YouTube のコレクション一つで、その人の生まれた時代や環境がわかる。
それにしても、DVDもビデオもなかった時代のテレビの映像が、なぜ YouTubeに投稿されているのかという話。その後にビデオ・パッケージで発売されたもののパクリというのもあるが、放送局からの内部流出ではないか、という説も有力。
7月10日(金)は午後イチから大阪で取材があって、同行の編集者に「ドームでコンサート見に行く予定だから、早めに切り上げよう」と言いつつ、取材対象の女性の話が面白くて、ついつい長居。
新大阪発16時37分ののぞみに乗って、東京駅に着いたときには19時13分。ああ、始まっちゃってるぞ。ドームのゲートをくぐり、地下通路を走っているときには、もう「スカボロフェア」が聞こえていた。まずぅ。
スタジアムのフィールド上に設置されたアリーナ席(パイプ椅子だけど)に案内されるとき、ちらっと会場を見渡すと、もう内野も外野も満杯で、照明の下で、たくさんの豆つぶ状の顔々が波打っている。それはそれで美しい光景だった。こんなに人が集まっているのを見るのは久しぶりだなあ。
もちろん、アリーナ席とはいえステージは遠く、二人のアップは会場の大型スクリーンで拝むしかない。かなり後退しているとはいえ、アート・ガーファンクルの金髪のカーリーヘアが若かりし頃のイメージを彷彿とさせるのに対して、ポール・サイモンはちょっと身振り手振りがオカマ風の変なオジサンになってた(笑)。
私の隣の、私と同年代のオバサンは、オペラグラスをしきりに覗きながら、最後までグスグス涙ぐんでいた。観客は40〜60代がほとんどとはいえ、なかには20代のカップルやグループもいたりして、ファン層の幅広さを感じる。
二人がソロになってからの歌はほとんど知らないが、結構いい。アフリカ出身のミュージシャンを登用したバンド構成は、新しささえ感じる。このあたりはポールの音楽性が強く出ているのだろう。それにしても、すべての楽曲が「高度に完成されている」という印象。20代のデビューの頃からすでに完成されていた彼らの音楽が、半世紀近くを経て円熟味を増しつつある。このこと自体が驚きだ。
もちろん、アートのハイトーンも、二人のハーモニーも往時と比べたら、衰えは隠せない。いや、70歳を目前にしてこれだけの声が出れば、もう立派なものではあるのだが……。
それと、何でも手拍子という観客のレスポンスはいかがなものか。Sound of Silence に手拍子は似合わない。そうでなくても、ドームの構造上、手拍子が反響し、左翼と右翼ではテンポがズレちまって、違和感極まりない。それでも、『明日に架ける橋』でのアートの絶唱には会場総立ち。私も身体中がゾクッとする感覚を覚えた。
いやあ、人間、元気に老いていきたいものです。
#それにしても、ドームに徒歩10分のところに何年も住んでいながら、プロ野球観戦は1回、コンサートは初めてという生活も、いかがなものかと思ったりするのである。
朝の5時頃は涼しかったが、昼前からスカンと晴れ渡り、目の眩むような強い陽射しで温度も急上昇。きょうの東京は32℃ぐらい? 風があるのに、やたら蒸し暑い。
午前中は打合わせ。今月から、某A社経由で某業界大手B社の広報媒体の記事の一部を担当することになって、その打合わせ。前任のライターの名前が珍しい苗字で見覚えがあった。A社の担当に確認すると、年齢とか出身大学とかが合致する。どうやら私は、大学時代の知人の仕事を引き継ぐ、というか「奪う」ことになってしまったらしい。
その人は、当時、新左翼某党派の学生組織のバリバリの幹部で、1年坊主の私を熱心にオルグしにきた人。それっきりコンタクトないままだったが、その後、その党派は壊滅し、同盟員たちは再建派のグループも含めて四散したことは知っている。
例によって、元新左翼、流れ崩れてフリーライターかと思ったが、話によれば、その人「ライターは仮の姿で、いまなお市民運動に勤しんでいる」と語っているらしい。三つ子の魂五十代まで、頭禿げても浮気はやまぬ、ってことかなあ。いや、いい意味で言っているんですけどね。
昨日(14日)は早起き。朝9時前に1本仕事終える。今日はそのままガンガン行く予定だったが、途中でダウン。
Art Textをレジスト。簡単にロゴタイプやマークを作れるグラフィックユーテリティ。日本語版は Nisus のマーキュリーが扱っているんだ。ソフトの品質に文句はないが、ちょっとお高いかも。かつてはたくさんあった、「なんでこれがフリーなの」と驚くようなフリーウェアが最近少なくなった。
夜、神保町の「ハイナンチーファン」で業界関係オジ・オバさん5人で飲む。
話題は、関係者に乳がん多発。某かつらメーカーの昨今。広告・出版業界大不況の実態。五十路男ヤメモヤモメの生活と意見……などなど。後楽園のショットバーでS氏と軽くシメ。中年男同士の堅い約束を交わす。実現性は微妙なれど。その内容はここには書けないけれど。
さあ、今夜は風呂入って、また5時起きしようっと。
_ Y氏 [それって単に歳取っただけでは?(笑) ってこんな時間に書いている僕が言う事じゃないけど(笑)]
小熊英二の新刊『1968』。さきほどAYUMIブックスで上巻が平積みになっているのを見た。上巻だけで1008ページ。1410グラムあるという。『<民主>と<愛国>』よりも重そうだ。購入を躊躇させるのはこの重量だけでなく、税込み7,140円也というお値段も。ちょっとカネの算段をつけねば。
ただ小熊さんの本は学者にしては珍しく読みやすいので、興に乗れば一気にいけるかも。夏休みの課題図書にでもしよう。
ところで「1968年」をモチーフに全共闘運動を総括したのは、絓秀実が先だが、当然ながらリベラル・デモクラチストの小熊は立場を異にする。
本論や結論で述べるように、筆者は「あの時代」の叛乱を、一過性の風俗現象とはみなしていない。だが、一部の論者が主張するような「世界革命」だったともみなしていない。結論からいえば、高度成長を経て日本が先進国化しつつあったとき、現在の若者の問題とされている不登校、自傷行為、摂食障害、空虚感、閉塞感といった「現代的」な「生きづらさ」のいわば端緒が出現し、若者たちがその匂いをかぎとり反応した現象であったと考えている。そしてこれを検証することの意義は、不安定雇用の若者たちから運動がおきつつある現在、ないとはいえまい。
この見方に異議をさしはさむものではないが、重要なのはディティールだ。まずは読んでからね。
一昨日、昨日と鳥取市出張。
たしかこの街は初めてではないはずだが、前はいつごろ、何をしに来たのかは忘れてしまった。たぶん25年ぶりぐらい。
夜は、この時期うまい岩牡蠣、白エビに地元の銘酒で接待される。意外だったが、讃岐風にコシの強く、甘めのタレがよく合ううどんが美味。
鳥取砂丘でラクダも見たし、賀露海岸では魚市場で岩牡蠣を頰ばり、白兎海岸では因幡の白ウサギ由来の神社も訪ねる。観光モード全開。
もちろん、仕事もちゃんとしてきたけどね。
著者にインタビューする必要があって、あわてて読む。「このミス」追っかけではないもので、世評の高さは承知しつつも、手を出さなかった作家。キャラクターの設定やプロットの構成力が緻密で、複層的な物語を重ね合わせるエンタテインメント力にいまさらながら驚く。医療ミステリを前面に出し、賞狙いを意識したかのような「バチスタ」のほうがストレートで読みやすいが、背景にある医療問題をより鋭く提示しているのは『ルージュ』のほうだろう。
著者本人は、茶目っ気のある笑顔が印象的な童顔の人で、頭の良さは窺わせつつも、それを誇示することがなく、インタビュアーのやや無理筋のテーマ設定にも、旺盛なサービス精神で応えてくれた。そもそも文学畑でも医療畑でもない少部数の媒体に、あの金額の謝礼で、90分間取材に応じてくれるというだけでも、ありがたい。
これからもそうなのかはわからないが、「読んでいただいて、楽しんでいただいて、少しだけ医療の危機に関心をもっていただくだけで嬉しい」という謙虚な姿勢に溢れていた。
本職は救命救急医ほどではないにしても、忙しいには違いない先進医療現場の病理専門医。短期間にあれだけの量を書けることにまず驚くのだが、作家としての資質や才能以上に、読者を得ることの悦楽にハマってしまったということもあるのではないか。
インタビューが終わると、取材スタッフが全員、体の中の「臓器」の模式図を書かされる。宝島社から秋に出る子ども向けの本の関連なのだが、「意外とみんな自分の体の中のことを知らないものなんだよね」と。医学の基礎知識を低学年から教えることが、医療への社会的関心の基盤を形成し、それが結果的に医療の危機を救うことになるというのが、どうやら持論らしい。
ついでに、『バチスタ』の映画も見たが、これは平凡。竹内結子のぼぉーとした演技は、主人公のキャラクター設定によるものだとしても、最後までわざとらしい。この人、恋愛もの以外はまだまだだなあ。
_ Kusa [珍しくここにあるのは 皆読みました]
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
_ kusa [かわいい]
_ 海の炎 [チャップリンとアインシュタインの混合かな!?]
_ KYO [多羅尾伴内かポアロか、といった感じも(^-^)。]
_ bacci [なんか、大正時代のモノカキのような雰囲気も。。。]
_ Y氏 [現実はそんな良いものではないぞ(笑)]