毎年、一つの雑誌を年間購読することにしている。雑誌のテイストとか編集方針とかは、少なくとも1年通して読まないとわからないから。
2009年は新潮社の「芸術新潮」だった。知り合いにこの雑誌の編集者がいたこともあるのだが、どうも私の「芸術的」関心とは少しズレていたみたい。結局、あんまり読まなかった。
ちなみに、2008年は岩波の「世界」。これも編集長は学生時代の知り合い。ほとんどガラパゴス化しながらも、個人的には残って欲しい雑誌なので、ある意味カンパのつもりだった。3年おきぐらいに、おお、まだ残っているのかと気づいて、定期購読している感じ。
2010年はどうしようかなと考えて、「ナショジ」に決定。深い意味はないのだけれど、グラフィック誌なのに小型版で、日本のメディアとは微妙に違う、その視角に期待できるかもと思ったものだから。
併せて、すんごい地味だけど「神奈川大学評論」ってのも、定期購読することにした。
小熊英二の『1968』上下本。近所の書店、あゆみブックスでは発売直後から新刊書コーナーに平積みで並んだ。5カ月も経つというのに、相変わらず平積み。新聞書評の切り抜きがPOP替わりに立ててある。
道路に面したディスプレイにも、新刊の入れ替えで他の図書がころころと変わるのに、これだけは一角を占めつづけている。もちろん、歴史・ノンフィクションのコーナーにも写真のように表紙を表にして...。ちなみにその左は小熊の『<民主>と<愛国>』。右隣は連合赤軍事件の関連図書だ。
専門書がないわけではないが、スペースの過半はコミックス、文庫、雑誌に占められている、いっけんふつうの中型書店なのだが、この『1968』への贔屓というか、気合いの入れようはなんだろう。上下巻総額14000円なにがしの本が、そう飛ぶように売れるわけでもあるまいに。団塊世代の店長でもいるのだろうか。それともチェーン本部の方針なのろうか。
それはともあれ、8月から枕辺のナイトキャップがわりにしずしずと読み続けているこの大著。壮大な「歴史絵巻」をひもとくような面白さがあるのだが、下巻の連合赤軍の章に入る段になって、一時ストップしたままだ。事件の悲惨な性格からして、そこに入る前に呼吸を整える必要があったから。そうこうするうちに、別の本が闖入してきてしまった。ただ、あと一息ではあるので、年内には通読できるはず。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
そういえば朝日新聞にこんな記事が載っていました。
http://book.asahi.com/clip/TKY200911280201.html
おお、そうですか。「賛辞を集める一方、当事者から事実関係などをめぐる批判も..」私が知りうる範囲でもいくつかの間違いがあります。なにせ当事者が生きている時代を扱うんだから、そうした批判は恐れず、あえてチャレンジということだったんでしょう。