最近日がな一日、テレビ映画しか観ていないような感じですが……そんなことはないんだけどね。
『自由へのトンネル』(劇場未公開/イタリア/ハンガリー/イギリス合作/WoWoW/★★★☆☆)
1961年、西ベルリンに住むイタリアからの留学生らが、壁のため西側に戻れなくなった同級生らを救うべく、東西ベルリンを結ぶ地下トンネルを掘ったという実話に基づく。そのトンネルの模型のようなものを、かつて壁があった時代に訪れたベルリンの壁博物館で見たような記憶がある。
日本語吹き替えが興ざめだったが、まあ、並み程度のスリルとサスペンスはある。第三国のパスポートをもつ人の往来が結構自由だったり、大型トラックを東側に運び入れることができたり、当初は警備の抜け穴というものはあったのだな。
以前観た『トンネル』(2001年)のほうが人物描写、撮影、ドラマとしての重厚感はいずれも上回る。壁崩壊20周年ということで、お蔵入りしていたフィルムを復活させたという感じ。
『アメリカを売った男』(2008年日本公開/アメリカ/WoWoW/★★★☆☆)
20年以上にわたってアメリカの国家機密をソ連やロシアに売り渡していた実在のFBI捜査官のスパイ事件を映画化。原題の Breach は「背任」というぐらいの意味か。渋面のクリス・クーパーはスパイ・サスペンスには必須の脇役だが、今回は主演。ライアン・フィリップはナイーブな訓練捜査官、ローラ・リニーは仕事と結婚したような独身女性エージェント役で、それぞれが芸風のツボにはまった演技をしていて、そういう意味では最適の配役、かつそれゆえ無難な映画。
最初は曖昧な理由しか告げられないまま上司の背任捜査を命じられる若い訓練捜査官が、上司の奇矯ではあるけれど魅力的な人柄にしだいに惹かれていく過程はよく描かれている。ただ、ラストのエレベーターで出会うシーンはなくもなが、だろう。
スパイの動機は、金以上に、一種の名誉欲、ひそやかな自己顕示欲だったのだろうか。ふと、佐々木譲の『警官の血』(下巻)のストーリーと対比したくなる。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
「日記は別人格」というのが興ざめだったが、まあ、並み程度の文章と構成力はある (^^)
うまい!