天気がよかったので、散歩がてら上野の国立西洋美術館へ「古代ローマ帝国の遺産」展を観に行く。
帝国創建期の偉人たちの肖像彫刻やポンペイ、エルコラーノなどの出土品を中心に、帝国の芸術・文化を探ろうとするもの。ナポリ国立考古学博物館の所蔵品が多いが、実は4月にナポリに行ったときはちょうど博物館が休館日で、見逃してしまっていたのだ。結局、ポンペイ遺跡にも立ち寄らなかったので、その一部とはいえ、東京で観ることができるのは嬉しい。
ローマの美術品やポンペイ壁画もよかったのだが、それ以上に感銘を受けたのは特別出品された「アレッツォのミネルウァ」。紀元前3世紀のギリシアの青銅像で、展示会の趣旨からは外れるのだが、「日本におけるイタリア2009・秋」事業の関連で特別展示となったらしい。
身にまとうケープや胸当て、ゆったりとしたウエストまわり、そして兜の細部を浮き上がらせる彫刻の襞は、息を飲むほど優美だ。青銅は二千年のときを経て、質感豊かに、にぶく、ふかく輝く。憂いをひめた瞳と意志的な小さな唇、知と闘いの女神らしい気高く引き締まった表情は、西欧小顔美人の一つの典型ではあるまいか。
わたしゃ惚れましたね。「ミロのビーナス」なんぞより、こっちのほうが好きだな。
美術館の後は、木々の色に秋の深まりを感じつつ、上野桜木町から谷中あたりを散歩しながら帰宅。あんまり空が青いので、PEN E-P1 でパシャパシャしちゃいました。
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