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ひろぽん小石川日乗

心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくれば

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「ひろぽんの南イタリア旅行記」はこちら。

2008-07-04 (Fri)

[life] 赤坂

まだ風があったからよかったようなものの、今日の東京は、陽射しのきつい夏みたいな一日だった。午後に赤坂あたりへ出没。TBS会館だったあたりがすっかり変わって、オフィスビルになっていた。「赤坂Bizタワー」というのだそうだ。オフィス棟にはアサツーDKとかが入っている。1F、B1にこじゃれたショップや飲食店が集積。TOP'Sのカレーで遅い昼食。なかなか美味。


2008-07-08 (Tue)

[book] 地球はホントに危ないか

G8サミットということで、環境本が書店の書棚を賑わしている。「地球温暖化対策はこれからの人類のモラル」みたいな言い方をされると、ついモラルの根拠を問いたくなるのは私だけではあるまい。そういう懐疑意識はいくつもの「地球温暖化懐疑本」を生み出している。日本における議論が簡便にまとまっていると思われたので『暴走する「地球温暖化」論 』(池田清彦ら/新潮社)を購入。パラパラとめくる。科学的実証の問題以上に、「科学的実証がない」という論者らの論法に興味。
もちろん、こうした懐疑論に対する反批判本も出ている。この後は、『環境危機はつくり話か──ダイオキシン・環境ホルモン、温暖化の真実』あたりを読んでみようか。
今週号の「週刊東洋経済」も「経済で読む「温暖化」の真相・地球はホントに危ないか」を特集。温暖化懐疑論というわけではないが、排出権取引などを中心にその実現可能性に疑義をはさむ内容。これもまだパラパラめくっただけだけれど……。


2008-07-13 (Sun)

[movie] 最近観た映画--『潜水服は蝶の夢を見る』など

『夜になるまえに』(2000年/米/早稲田松竹/☆☆☆)

キューバの亡命作家、レイナルド・アレナスの自伝をジュリアン・シュナーベル監督が映画化。ハビエル・バルデムが好演、ジョニー・デップが怪演。革命と反革命、独裁と自由がテーマ。

なぜ、社会主義独裁は、同性愛者を差別し弾圧するのか。むろん、ふつうの資本主義下における市民社会においても、偏見から解き放たれているわけではないし、キリスト教やファシズムの同性愛差別はもっと残酷なものだったが……。いずれにしても、それは社会の生産性にとって同性愛はマイナスであると認定するからであろう。生産力主義の誤謬。

『潜水服は蝶の夢を見る』(2007年/仏・米/早稲田松竹/☆☆☆☆☆) >

同じジュリアン・シュナーベル監督作品。

レイナルド・アレナスの自由と表現を封じたのが、社会主義独裁の牢獄だとすれば、本作の主人公ジャン・ドミニクのそれを奪うのは、片方の目のまばたき以外に、全く動くことのない植物人間としての肉体だ。その牢獄をここでは「潜水服」に象徴させている。

それでも主人公は自分の意思を、介護者らによるアルファベットの口述をまばたきの回数で指定することで、伝え、単語を綴り、一冊の書物として残すことができた。本人の意志の勝利であると同時に、介護という営みの最も優れた成果でもある。

病棟で意識の戻った主人公の瞳にぼんやりとさし込む光と、その瞬間に縫いつけられる片方のまぶた。それを瞳の主の側から描く映像。ルイス・ブニュエルほどにはシュールでもシンボリックでもないが、それと同じぐらい残酷で、かつ美しい。

映画の美しさは、ジャン・ドミニクの瞳に映る人々、たとえば言語療法士役のマリ=ジョゼ・クローズ(『ミュンヘン』にで素っ裸で殺される女暗殺者の役)のような美女たちによっても醸し出される。こんな誠実で優しい美女たちに囲まれながら死期を迎えることができたのだから、この男は幸せ者といえるのかもしれない。

■『象の背中』(2007年/日/WoWoW/☆)

死期をさとった男の最期。残される家族や、友人、愛人との交流。それだけ取れば、『潜水服〜』と設定は似ていなくもない難病モノ映画であるが、こちらはなんせ原作が秋元康だしなあ。期待していたわけではないが、その通り、あんまりでした。

役所広司の演技は並みのデキだったとしても、今井美樹は完全なミスキャストだろう。その演技に途中ずっとハラハラしていたが、最後にやっぱりぶち壊しだった。とりわけ、病床を訪れる妻と愛人の描き方は、ありえねぇ。涙が流れないわけではないが、せいぜい1.5ミリリットル。

『しゃべれども しゃべれども』(2007年/日/WoWoW/☆☆☆)

屈託を抱えた素人が、何事かの訓練を重ねて、最後には人生のハレ舞台に立つという、カタルシス映画。『Shall we dance?』とか『ウォーターボーイズ』などの系譜に連なるものだが、二つ目落語家の生活ぶりを丹念に描いていて、それなりに面白かった。

国分太一の劇中の落語は、最後まで下手だとは思うけれど(笑)。むしろ伊東四朗の話芸のうまさが引き立つ。若手の落語をガチンコで聞いてみたくなる。


2008-07-14 (Mon)

[life] どうなってるの?

ロイターのピクチャーギャラリー「奇妙な世界にようこそ」。たとえばこんな写真。世界の不思議に笑える。

[life] ださださ

昨日の日曜日からみずほ銀行オンラインバンクの認証方法に、「画像」と「合い言葉」ってのが加わった。前者はあらかじめ銀行側が用意した複数の画像のなかから、「自分の画像」とするものを選択しておくと、ログイン時に表示されるというもの。フィッシング詐欺を防ぐ手だてだと思われる。
ただ、この用意された画像ってのが、なんともケバケバでダサダサ。10年前のMSのアプリケーションが用意していたフリーのライブラリ画像みたいなんだな。こういうところにセンスが出るものではある。


2008-07-15 (Tue)

[movie] 毛沢東に似た男

 NHKBShiで昨夜再放送された『シリーズ新的中国人 芸人 毛沢東に似た男』というのがメチャ面白かった。

 毛沢東と背丈と額のハゲ具合が似ていて、演説をそっくりの口調でモノマネする芸人が、中国にいる。書もよくし、毛沢東の書体を伝統保存する「毛書体研究所」なる組織の長を名乗っている。あるとき、彼は紅軍の長征の跡をたどりながら、毛沢東由来の観光地で、パフォーマンスを演じる旅に出る。それに同行した中国人若手ドキュメンタリストの作品だ。

 芸人は、自分は毛沢東崇拝主義者であって、その思想を人々に伝えるのが使命だと宣うのだが、要は各地で芸を披露し、自分が書いたという「毛書体」の解説書や揮毫したなにがしかの額を、人々に売りつけるのが目的だ。ホテルで着替えた人民服の胸には「主席」と書かれたリボンまでついている。人々の前でポーズを取り、毛沢東のようにタバコを吸い、彼の革命詩を、毛沢東に似た少し甲高い声で吟じてみせる。

 現代中国において毛沢東の思想的影響力がいかほどのものかは推して知るべしだが、それでも毛沢東はいまなお人民にとっての「アイコン」である。芸人が各地で出会う人々は、ときに毛沢東を称え、彼を神だといい、彼によって中国は救われたといい、そのポスターを部屋に飾り、彼の生家を訪ねては、写真を撮る。

 地方の共産党幹部はもとより、ふつうのオジサンやオバサンや、仏教の坊さんや、四川省のチベット僧までがそういうのだから、これには少々驚く。毛沢東をモノマネする芸人の本性を、金が目的だと見抜き、侮蔑の眼差しを向ける人がいないわけではないが、多くの人は、彼の演説に笑い、一緒に写真に収まってくれとせがむ。

 ある中年の女性は、そのモノマネにいたく感心し、若かりし頃、一度だけ車列の中の毛沢東を間近に見て、声を挙げることもなく、ひたすら陶然としたという少女紅衛兵時代の思い出を語る。自分が経営する養鶏所の看板を、芸人に揮毫して欲しいと頼む。

「して、お値段はいかほどでしょうか」
「私の作品は本当は一尺何百ドルもするのだが、今回は、無料にしましょう」
「なぜ?」
「あなたとは、同じ指導者を崇敬する者同士だからです」

 などという会話は、下手な映画の脚本よりも数倍も面白い。書の値段が、人民元ではなく、米ドル建てというのも笑える。

 毛沢東の生家のそばで料理屋を営んでいた女性がいた。革命成就後に毛沢東が帰省した折り、一緒に写真に写ったその人は、その写真が新聞に掲載されると全国的に有名になり、その後、「毛家飯店」なるレストラン・チェーンで財を成すようになった。いまや豪勢な館に自分の蝋人形まで置いている。その女性経営者を訪ねて、芸人は握手をする。毛沢東の威光は、人々に富をもたらす。今度は芸人がそれにあやかる番だ。

 その一方で、別の隣人はいまなお見るからに貧しい暮らしで、80歳を過ぎた老婆は、曲がった腰で畑仕事をする毎日だ。「ワシも一緒に主席と写真に映りたかったよ」と歯の抜けた口元が悔しそうに笑う。彼女もいま写真に収まる。しかし一緒に写るのは、主席本人ではなく、そのモノマネをする芸人だ。

 これも一つの「格差」なのだろうか。

 福建省あたりの沿岸部には古くから媽祖の信仰があるが、さながら毛沢東は労働者・農民にとって民間信仰の対象のようでさえある。その信仰は、現世御利益に直結している。現代中国の拝金主義の風潮が、そのアイコンをいまなお輝かせる。

 私はキューバのハバナの街で、アイスクリーム屋の客引き用に飾られていたチェ・ゲバラのポスターを見たことがある。ゲバラは死して、アイスクリーム屋を儲けさせる。しかし、革命のアイコンがもたらす現世利益は、ここではキューバの比ではない。革命の皮肉の強烈さもまた、その比ではない。

 救われるのは、ドキュメンタリストの冷徹な視点だ。権力にこそ執着したものの、金には無頓着だったといわれる毛沢東。そのモノマネで身すぎ世すぎをする芸人。その芸を笑って楽しむ人々。可笑しくもあり、同じくらいもの悲しくもある、イデオロギーの変わり果てた姿。これもまた、現代中国の諸相の一つであることはたしかなのだ。


2008-07-18 (Fri)

[cynicism] 一種の風俗小説にすぎない

石原慎太郎の記者会見を伝える朝日記事
体調不良で選考を欠席した芥川賞の受賞作、中国人の楊逸さん(44)の「時が滲む朝」については「一種の風俗小説にすぎない」と批評した。
半世紀前は、石原自身がこのように言われていた。
「この小説は、仮に新奇な作品としても、しいて意地悪く云えば、一種の下らぬ通俗小説である。私がもっとも気になるのは、案外に常識家ではないかと思われるこの作者が、読者を意識に入れて、わざとあけすけに、なるべく、新奇な、猟奇的な、淫靡なことを、書き立てているのではないかと思われることである。」(宇野浩二の芥川賞選評)
石原はあえて宇野のコメントを意識したのだろうか。それにしても、宇野浩二の本質を見抜く目のすごさよ。

2008-07-21 (Mon)

[movie] 映画『グッド・シェパード』


 1961年のキューバ危機、なかでもピッグス湾侵攻事件が映画の重要な舞台回しになっている。作戦が失敗したのは、上陸地点が事前にキューバに漏れていたためというストーリー(実際にそういう説はある)。CIA内部にスパイがいるのではないかという疑念が生じ、諜報部長であるマット・デイモンの身辺も疑われる事態に。

 そんな折、彼の元に、不鮮明な画像だが、男女のベッドシーンを盗撮した写真と、意味深なピロートークを記録したテープが届いて……と、ミステリアスな雰囲気で映画は始まる。


 共産主義との冷戦がCIA設立の動機であり、にもかかわらず、お膝元でキューバ革命が起きて、アメリカがあわてふためいたというのは歴史の事実。また、反革命策動としてのピッグス湾侵攻計画にCIAがからんでいたのも、アメリカ政府は公式には認めていないけれども、これまた周知の事実。その頃は、カストロのラジオ演説を遠くワシントンで傍受しながらその心理をプロファイル分析するというCIAの対キューバ専門家がいたりした。

 映画は、冷戦期に共産主義のアメリカ本土への侵入を防ぐために活動したCIAの裏面史をえぐる。むろん、それは愛国のスパイたちを手放しで誉めるものではない。仲間ではありながら、秘密を知りすぎた男を残酷に抹殺する、CIAの非情さにも触れている。敵指導者の暗殺や、敵スパイへの拷問、民衆への情報操作、プロパガンダ、ときには、農作物への害虫散布にさえ関わった、CIAの「負」の歴史が語られる(映画の真実性についてはCIA自身が反論しているというが)。

 同時に、設立時のCIAメンバーが、イェール大学卒業生などから選抜された、アメリカの典型的なエスタブリッシュメント集団であったことも指摘される。CIAは決してならず者集団ではなかった。むしろ、優れた知性と高度な技術、そして国家的使命を一身に背負ったエリート集団であった。それでも彼らがダーティーな“裏稼業”に手を染めたのは、どのような動機からか。

 有能な女性秘書が敵側のスパイだったり、亡命した元KGBスパイが実は二重スパイだったり、CIAの長官までが、敵に金を積まれて籠絡されていたなどという、激しいインテリジェンス戦の攻防のなかに、冷戦下の知的エリートたちの愛国心の行方が描かれていく。

 こうしたCIAの活動について、監督のロバート・デ・ニーロを含むスタッフたちはどのように見ているのか。デ・ニーロ自身が映画の中で演じているビル・サリヴァン将軍に、「ヒトラーの独裁を支えたのは、公務員たちだった」というような台詞を語らせることで、国家のエリート集団が暴走する危険性を指摘しているところは見逃せない。その後のイラン・コントラ事件などを考えれば、こうした態度はハリウッドの良識派としては当然のことに思える。

 たとえ諜報機関の存在は必要悪として認めたとしても、その強大化と腐敗を防ぐためには、たえずより高次の政治権力によってコントロールすべきであるという、ロバート・デ・ニーロのデモクラティックな意見表明が、ここではなされていると見るべきだ。

 こうしたポリティカルな描写を縦軸に、そこに横糸のように絡むのが、父と子、夫と妻の愛憎の物語だ。危機に瀕した諜報員は、肉親への「愛」か、「国家」への忠誠かという二者択一を突きつけられる。その究極の選択に悩むマット・デイモンの演技に、どこまで感情移入できるかによって、この映画の評価は分かれるのだろう。
 
 たしかにストーリーは複雑で、いろんなサブストーリーを盛りこみすぎのきらいはある。なかでもライバルであるKGB諜報員との度々の遭遇シーンは現実的でないし、かつ余計だ。KGB要員は存在を示唆しながら登場させない、という選択はなかったものか。
 マット・デイモンの元に届いた謎の映像と音声がテクニカルな分析で次第にクリアになり、それが彼の息子にからんでいく過程はスリリングだが、最後の顛末はちょっと唐突な感じをぬぐえない。このあたりは構成上の弱点に思える。

 マット・デイモンはほとんど終始一貫、ニヒルで猫背で感情を表に出さない演技を貫いているが、これはどんなときにあっても冷静さを失わないという諜報員の職業的態度を表象しているからだと思われる。また、幼くして父の自殺を見てしまった、少年期のトラウマが、そこには反映されているのかもしれない。
 それでも、学生時代の聾者の恋人と会話するとき、彼は柔和な笑みを見せる。ほんとうはその彼女を妻にして、詩人か大学の教師にでもなって、つつましくも嘘のない幸せな家族生活を送れたかもしれないのに、それを選ぶことができなかった一人のスパイの「宿命」。その切なさが最後のほうになって伝わってくる。

 アンジェリーナ・ジョリーやウィリアム・ハートの演技は凡庸だが、ジョン・タトゥーロは相変わらずいいし、フレデリックス教授役のマイケル・ガンボンの演技は注目に値する。なにをいまさら冷戦スパイもの(今風にいえばインテリジェンスもの?)と最初は思ったものだが、こうした脇役の演出の冴えもあって、意外と味わい深い映画に仕上がった。カーチェイスも派手な銃撃戦もそこにはないが、スパイを人間として描くことには成功している。というわけで、総合的評価は ☆☆☆☆ であります。(DVD)

2008-07-22 (Tue)

[cynicism] インディカー・レース

朝日新聞朝刊3面「バイオ燃料摩擦熱」──アメリカのインディカー・レースでは、昨年からクルマの燃料をバイオエタノール100%に切り替えているという。むろん環境への配慮が狙いである。
「だが、途上国の食糧危機が深刻化する中、本来は食べ物だった穀物を燃料にして、最高時速300キロ超で走るレースに興じる米国のクルマ社会の姿は、むしろ異様に映るようになってきた」
「地球に優しいカーレース」って、そもそも語義矛盾だろう。ついでにこれは、食べ物にも優しくないし、食糧高騰をあざ笑う暴挙ともいえる。どこまでも stupid なアメリカ人。ま、我々もそれに近いことはしてるけどね。

[IT] Apple 謎の新製品

Appleの謎の新製品は何か? - ITmedia アンカーデスク
「Appleがある日するかもしれないこと、しないかもしれないことを予想するには、わたしは年を取り過ぎた――ノートPCの新プロセッサへの移行かもしれないし、製品ラインの刷新かもしれないし、まったく新しいものかもしれない」とJupiterResearchの調査ディレクター、マイケル・ガーテンバーグ氏は言う。
私は調査ディレクターではないけれど、「予想するには年を取りすぎた」というのは実感としてわかるかも。

2008-07-23 (Wed)

[media] テレビの危機?

“午後4時”のテレビ産業〜落日の危機は近づいている - ビジネススタイル - nikkei BPnet
テレビ業界各社の収益が悪化している。2008年3月期決算では、大手キー局の経常利益が、軒並み減益となった。業界最大手のフジテレビの経常利益は前年度の460億円から270億円へと約40%も減った。業績悪化の直接的原因は、広告収入の減少である。電通の推計によれば、テレビ広告費の総額は、2005年以降減少傾向が続いている。

というが、その下につけられたテレビ広告費推移の棒グラフは、年間2兆円ラインを微減しつつ動いている。ネット広告費の伸びはめざましいというものの、テレビ広告費の減少幅は微量。どこが危機だというのか。
記事に添えられた「テレビ視聴時間の推移」というグラフをみてさらに驚く。平日の視聴時間は2002年をピークに減少傾向だが、1980年代に比べると数倍の伸び。日曜も同様に、1988年あたりの倍近くある。グラフを読むスパンを長目に取れば、日本人は昔に比べて確実によくテレビを観るようになっているのだ。
大宅壮一がテレビによる「一億総白痴化」を言ったのは1957年。けだし卓見ではあったとしても、そのころから比べようがないほど、日本人はテレビが垂れ流す大量の映像に日々脳を侵蝕されているということだろう。
誰がこんなにテレビを観ているのか。記者は「高齢者のテレビ視聴時間が増加し、若年層の視聴時間が減少している」ことを憂えている。若者が観なければ広告効果はないからだ。
しかし、若者がテレビばかり観ている国というのも、考えてみれば、つまらない。そもそもいまのテレビ(NHKを除く)には、若者の柔軟の脳を鍛えるような歯ごたえのあるものがない。時間を持てあました若者が、暇つぶしにスイッチを入れて、ヒヒヒと笑い転げるだけの番組。社会文化の将来を考えれば、若者のテレビ離れはむしろ健全と考えるべきだろう。ただ、テレビが減って、その分、ネットやケータイに向かうのであるとすれば、同じ穴のムジナなんだけどねえ。
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_ Y氏 [広告と言っても、殆どがパチンコと保険会社だからなぁ(ちょっと前まではサラ金)この二つを無くせば一兆円位減るんじゃない..]


2008-07-25 (Fri)

[IT] MacBook のHDD逝っちゃった

MacBook の内蔵ハードディスク、逝っちゃったみたいだなあ。日立GST の HTS542525K9SA00。異様な暑さのせいだろうか。いろいろと修復を試みたが、やればやるほどボロボロになっていくパターン。結局、11カ月しか持たなかった。
ま、メインマシンじゃないので、気分は楽だけれど。というわけで、週末に換装・新規インストールじゃ。懲りずに同じメーカー、今度は HTS543232L9A300 ってのにしてみよう。5400rpm とはいえ350GBで1万円ほど。こんなに安いんで大丈夫だろうかと少々不安。


本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ Y氏 [その値段だと半年かなぁ (^^]

_ ひろぽん [Y氏のmixi日記にチャチャ入れた直後なんだよォ、クラッシュしたのは。さては、オヌシ、何か仕込んだな。]

_ Y氏 [まさか引っかかるとは(笑)>嘘]


2008-07-28 (Mon)

[movie] 映画『敵こそ、我が友』

MacBookの内蔵 HDD を入れ替え。OS新規インストール、主要データのコピーで無事に復旧。内蔵ディスクの換装はこれで2度目。取り外しは簡単だが、ディスクをマウントして押し込むときに、内部のガイド用のゴムが邪魔してなかなか入らないんで、少々焦る。このゴム、意味あるのかな。押し込んでもカチっと音がしたりしないんだものな。ま、ちゃんと動いているからいいか。
日曜日は銀座で『敵こそ、我が友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜』を観ていた。監督が『ラストキング・オブ・スコットランド』を撮ったケヴィン・マクドナルドだというので俄然興味が湧く。地味なドキュメンタリーだが、公開2日目ということもあり、客席は満員。
ナチス戦犯の数奇な生涯をたどる。むろん映画はその犯罪性を擁護するものではないが、彼一人を断罪するものでもない。むしろ、バルビー一人にスケープゴートのように罪を押しつけて平然としている、アメリカやフランスの戦後社会を問うものだ。
バルビーの弁護を買って出たベトナム系フランス人の弁護士は言う。「ユダヤ人の強制移送にはときのフランス政府も荷担していた。いわば、バルビーの罪はフランス人の罪でもあるのだ」。
戦争犯罪と戦後犯罪との、いまだ清算されない密接な関係。その構造は日本でも同じだ。


2008-07-29 (Tue)

[cynicism] ビジネストレーニング

asahi.com:「人脈作りに」と高額スーツ商法 起業家の卵に被害
 SNSに「起業家志望」と登録していた都内の大学生の場合、SNSでの知人から「一流企業に勤める人と会える」と紹介されて都内の事務所を訪ねたところ、「社会人に会うにはオーダースーツが必要」と言われた。その場で約20万円でスーツを仕立てたが、「営業の訓練になるので他の人に販売してみよう」と指示されるばかりで、社会人の紹介はなかったという。  別の都内の大学生もSNSで知り合った人から「1日に10万円稼ぐ方法がある」と誘われ、同様に事務所を訪れ、19万円のスーツの購入契約を結んだ。ところが、その場で「ビジネストレーニングになるので、とにかくアポをとれ。友人のアドレスを書き出せ」と指示されたという。
「サラリーマンNEO」のコントみたいな話だな。犯罪の手口がそれなりの社会批評になっていて笑える。「オレオレ詐欺」なんかでも思うことだけれど、こういう人を騙す抜群のセンスがあるんだったら、もう少しまともな会社をやっても成功するんじゃないかと。 被害にあった学生にとっては、高い授業料だったとはいえ、それこそ得がたい「ビジネストレーニング」になったんじゃないだろうか。
本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ yu [起業とか独立とか SOHO って戦術あるいは結果であって、戦略や目的ではない、つまり志望するようなもんではないような..]

_ ひろぽん [「何をするかはこれから決めます。とにかく起業したいんです」という「起業くん」が世の中にバッコしてたのは、何年前だろう..]


2008-07-31 (Thu)

[movie] 黒木和雄

先日顔を出した金時鐘さんを中心とした詩と音楽・舞踊のイベントの打ちあげで、ひょんなことから映画監督・黒木和雄の話題が……。先日、戦争レクイエム三部作の『父と暮らせば』(宮沢りえ/原田芳雄主演)をDVDで観て、いたく感動しておっただけに、タイムリー。画像の説明

しかしながら、黒木和雄はその初期作品を私はちゃんと観ていない。いや、戦争レクイエムも『美しい夏キリシマ』が未見だし、遺作『紙屋悦子の青春』も観ていない。

最近の作品はTSUTAYAで借りられるとはいえ、初期のものはそう簡単ではない。そこで「初期傑作集 DVD-BOX」というのをヤフオクで探して落札。『とべない沈黙』(1966年)『キューバの恋人』(69年)『日本の悪霊』(70年)の3つがセット。近年、ATG映画が再評価されているというが、それを語るには外せない監督。8月は黒木月間とすることにしよう。


この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。