というわけで後れ馳せながら、『靖国』を観てきた。渋谷のシネ・アミューズという小さな小屋。高齢の観客もいたが、若い人もちらほら。長尺のドキュメンタリーだから、見続けるのに気力と体力が必要だと思っていたが、意外と最後まで寝ずに観られた(笑)。というか、これはかなりの力作だ。
反日か親日か、なんていう議論はそもそもどうでもいい。そういうナショナリズム基準で映画や芸術を平然と区別するセンスは貧しい。
軍服と兵隊ラッパで参拝する老人たち。その出で立ちは「軍服フェチ」かよと思うぐらい異様だが、欧米でも戦勝記念日などのパレードではときどき見かけるシーンではある。ただ、その姿が、なぜかもの悲しく、滑稽に見えるのは、いまそこにある靖国神社が「戦勝」を奉祝する場ではなく、「敗戦」の惨めな記憶を引きずる場所であるからだろう。靖国は慰霊の場というよりは、日本人にとっては、ルサンチマンの発揮の場であるように思える。
軍服姿で騒々しく参拝する人たちがやってくる度に、そこに眠るとされる「英霊」たちは、痛恨の思いを再び喚起され、けっして安らかではないだろう。
「小泉首相を支持します」と日本語で書かれたプラカードと星条旗を掲げる、ミズーリー州からやってきたという変なアメリカ人が映っていて、これがすごく可笑しいんだけれど、もっと可笑しいのは「小泉支持はその通り。でも星条旗はダメだ。リメンバー・ヒロシマ、ナガサキ!」と来場者に一喝され、すごすごと境内の外に追い出されるシーン。
ここで日の丸以外の国旗を掲げるのは、違法なのか。逆に、靖国における日の丸が持つ特定の意味を感じさせる映像である。
「特定」の意味とは、つまり靖国は日本国家と日本人の“聖域”であり、それと異なるものはすべて排除しようとする強度の排外主義に貫かれた場所である、ということだ。
そのことは別のシーンでも描かれる。神社のそばで開かれていた保守派の集会で君が代の演奏が始まると、そこに二人の青年が「小泉参拝反対!」を叫びながら突入してくる。当然、集会参加者に追い出されるのだが、この追い出し役を買って出た男の異常性が、これまた笑える。
「おまえら、なんだ。中国か。中国に帰れ。中国に帰れ」
と叫びながら、しつこく青年たちを追い回すのだ。「チューゴク、カエレ」を30回は叫んだろうか。まるで2ちゃんねるのような醜い排外主義のリフレイン。ちなみに、その青年たちは、言葉づかいからみて、明らかに中国人ではなく、日本人なんだけれども。
その騒動で、額から血を流した靖国反対派の青年が、救急車に押し込められようとするのを制して、「こんな傷ぐらいなんでもないです。日本によって侵略されたアジアの人たちが流した血に比べれば」と芝居がかった口調で絶叫するのも、まあ、これも笑える。私なぞは、急にそこだけ、時代が70年代にプレイバックしたような錯覚にとらわれてしまう。「血債論」ってのもありましたなあ。
ついでながら、その保守派の集会で壇上に立ち、時代錯誤の宣言文を読み上げた女性は、たぶんあの「稲田朋美」だ。な〜んだ、自分の映像が勝手に使われたのに気づいて、映画の反宣伝を始めたのか、こいつ。個人的理由を公的理由にすり替えるたぁ、政治家としての品格を疑うよ。
日本には、戦争についての価値判断はせず、無名戦士の墓地のようなものとして、靖国をとらえる気分がある。お盆の年中行事のようにそこを訪れる遺族の多くはそのような思いだろう。その慰霊の気持ちを、外国からなんのかんの言われるのは心外だ、というのはわからないでもない。
しかしながら、「戦没者の魂は靖国に宿り、安らかに眠る」というのは初めからウソじゃん。それは、明治政府によって作り出されたイデオロギーにすぎない。所詮、慰霊とは、生き残ったものたちが自らを演出する行為にすぎないから、そのイデオロギーのなかでまどろんでいたい人はそうすればいい。
しかし、それを拒否する思想があることも事実だし、それもまた尊重されなければならない。
たとえば戦死した父の合祀取り下げを求めるお寺の住職さん(真宗遺族会・菅原龍憲氏)が語る靖国。
「合祀取り下げをいうと、靖国神社は、合祀は遺族の要請ではなく、国家によるものだというのです。つまり、国家によって徴兵され亡くなった人々は、死後もなお国家に囚われたままなのです」
その言葉がいちばん重く響いた。
映画の基調としてたびたび登場する刀鍛冶のおじいさん(刈谷直治氏)には、まあ、騒動に巻き込まれちゃって大変でしたね、と同情したい。彼自身は、根っから寡黙な職人肌の人で、けっして声高に何事かを叫ぶ人ではない。監督からの「靖国についてどう思うか」という趣旨の問いにも、終始笑って答えずじまいだ。
しかし、こうした沈黙の中に潜む政治性というものを、映像は引き出そうとした。神社と天皇制と軍隊が結びつくおどろおどろしさ。そのことに無自覚な日本人に対する、この映画はアジアからの問いでもある。優れたドキュメンタリーだけが特権として行使できる、映像の冒険。それがここでは試みられている。
昨年秋以来、メインのメールアドレスへのメールで、「絶対に送ったはずなのに」と相手から言われるのに、届いていないという事故が二、三度生じた。そのときは再送信してもらったり、別のアドレスに送ってもらって事なきを得た。同じ送信者でも別の日には大丈夫だったりするので、原因を探しあぐねていたのだが……。
先日もそういうことがあり、よくよく考えたら、その頃に、ASAHI-NET のサーバ側の spam 対策「スパムブロック」を設定していたことを思いだした(思い出すのが遅い!)。
判断をプロバイダに「お任せ」する仕様にしていたが、その判定に問題があったようだ。spam と判定されたメールはサーバ側で特定のメールボックスに振り分けられるが、そこを見に行ったらたしかにあった。ただ、このボックスの中味は1週間経つと消えてしまうので、それ以前の事故については断定はできない。しかし、ほぼこの「お任せ」仕様が原因だろうと思う。
「お任せ」をオフにしてしばらく様子を見ることにした。
別のプロバイダ(dion/au)でも同様の spam 対策をしているが、こちらは spam 判定したメールのサブジェクトと発信者を翌日メールで知らせてくれる。ASAHI-NETもそれをしてくれたらよかったのに……。
DION ではそれでも spam 判定から漏れるメールが日に数通はある。こちらのアドレスは仕事には使っていないので、メーラーの側で「差出人がアドレスブックに存在しない」メールはすべて spam と判定するように設定をし直した。そのためには正常なメールアドレスを300個ほどアドレスブックに設定する必要があったけれども……。これで少しはスッキリするだろう。
秋葉原で何かあったみたいだが、ワタシはその時間、文京シビックホールで東京フィルのストラビンスキーなんぞを聴いていた。「春の祭典」がこんなに面白い曲だとは。
それにしてもクラシックのコンサートなんて、何年ぶりだろう。ご近所の文化施設はもっと活用しなくちゃな。9月にはコバケンがマーラーをやるというので、早速予約。
そんな、よか気分で帰宅したら、親父がデイケアセンターで骨折したというオフクロからの留守電。ベッドから落ちたぐらいで大腿骨、簡単に折れちゃうものなんだな、歳を取ると。
要手術ということで、医者が家族を呼ぶようにって。まあ、歳が歳だから万一の手術に耐えきれないってこともあると判断したのだろうか。覚悟を決めて、月曜朝に帰省する。
近所の高級中華屋では、後楽園飯店がイチオシである。夏が近づくと、ここの冷やし中華が食べたくなる。というわけで、金曜夜はボーナスが出たHに海鮮冷やし(2000円)を奢ってもらう。夏が来た!
というわけでまたまたいい気分になった翌日(土曜日)の朝。岩手・宮城方面で大地震の報。実家はボロヤだし、親父は入院中だしで、心配になって電話するも通じず。夕方になって回線が回復し、特に被害はないことを確認。これでこのあたりの太平洋プレートのひずみ、あと20年ぐらいは大人しくしてくれるだろうか。
欧州蹴球、Euro2008は全部観る時間がなかったが、この土日で録画分を消化しよう。私のグループリーグ勝ち抜け予測は、全然外れつつあるけれど。
GTD(Getting Things Done)という考え方があるそうだ。まあ、To Do リストとリマインダーで、仕事や個人的なタスクを管理しようってことだろう。これは、私が最も苦手とするところ。Macや携帯で管理できないものかと、それこそ10年も前からいろいろ苦心しておったのだ。
最近、WebサービスとしてGTDを実現する、Remember The Milk(RTM)っていうツールというか、サイトを利用し始めた。デスクトップ・アプリケーションじゃないので、ネットに接続していないと原則使えないが、逆に、どのPCからも、携帯電話からさえも、タスクのチェック、更新ができるところが便利だ。
文字通り「牛乳買うのを忘れないでおこう」とか「Euro2008の録画を忘れずに」とか、個人的な細々した用事のリストなんかも管理できる。しかも、Google との連携で、iGoogle のトップページに常時、RTM に入れておいたタスクを表示してくるなんていう機能まである。
そんなものは手帳に書いておけ、という人もいるだろうが、手帳を使わなくなってから久しく、もう紙には戻れない体質になっているもので。
他にも、iGDT とか、Omni Focus なんかも試してはみたんだけれど、私のシンプルなタスク管理には、RTM が一番ぴったりしているようだ。
秋葉原で加藤某が使用した武器は、ダガーナイフというのだそうだ。dagger には「敵意」の意味もあり、英辞郎には dagger to the heart of every community on the planet(地球上に存在するあらゆる社会の心臓部へ向けられた短剣)という成句も紹介されていた。
武器以外の文脈でも聞いたことがある名称だなと思ったら、英文の記号、いわゆる短剣符のことでもある。
Wikipedia によれば「墓と見立て、人名や日付の後ろに置いて、死亡した人の名前や歿年をあらわすなどにも用いられる」あるいは「ヨーロッパの鉄道時刻表では『日曜休日』をあらわす記号として頻繁に用いられている」とも。
社会への敵意であり、死の日曜日の象徴であり、かつ墓碑銘でもあったダガーナイフ。
「画像を追加する(Flickr)」というメニューがあるのだが、これだといきなり、flickr を検索するウィンドウが現れる。自分の写真だけを検索したいんだけれど、それができないみたい。
2つめの方法は、flickr で自分の写真を表示しておいて、そのURLをコピーし、「画像を追加する」のメニューを選ぶと現れる「インターネット上の画像ファイル」のボックスにそのURLをコピーする。
でも、それだったら、flickr の写真をScribeFire の本文ウィンドウにそのまま Drag & Drop しちゃったほうが早い。写真の位置を指定するには適宜タグを入れる。
Euro2008セミファイナル、西班牙×露西亜。ひごろ親しくしている(?)スペイン選手たちに勝って欲しいのはヤマヤマだが、ヒディング中隊の突撃力の魅力も捨てがたく。
でも、ロシア、ここまで。アルシャフィン(発音は、アルシャビンじゃないのか)動けず。というか、スペインのチームバランスや一致団結力は、歴史的にみてもすごいものがあるんじゃないかな。今回こそ無敵艦隊の形容も可能かと。
VIP席にはフェリペ皇太子夫妻も。けっこうサッカー好きだよね、ここの皇族。2003年11月にスペインを旅行してたときは、ちょうど2人の婚約が発表されたころで、レティシアさんの顔が当地のテレビに多数露出していた。CNNのキャスターだかレポーターだかをやっていた人。往年のジャクリーン・ビセット似。スペインにはすごい美人ジャーナリストがいるもんだと感心したものだが、なんかあのころから比べると、美貌もウムム---などと思いつつ、アイキャッチに使ってみました。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
_ K氏 [うーん どこかな? お父さんが服薬しているのはワーファリンかな?納豆食べちゃダメって言われてるでしょ?]
_ ひろぽん [仙塩総合。ワーファリンもあるのかもしれないけど、医者が挙げてたのはパナルジンでした。]
_ K氏 [了解しました。麻酔科医は殆ど知り合いです。]
_ bacci [我々の世代は今、親の老い行きと向き合わなければならない所に来ていますね。老々介護のお母様も大変なことと思います。どう..]
_ ひろぽん [bacciさん、ありがとう。伝えます。]