久しぶりの更新です。
最近は国際金融危機の推移に興味があり、かつよくわからないことだらけなので、経済関係に重点を入れて読書メニューを組んでいる。サブプライムローン危機の背景と発生のメカニズムについては、岩波書店「世界」12月号の伊藤光晴論文「世界金融危機から同時不況へ──サブプライム・ローンの軌跡──」というのが抜群にわかりやすかった。なるほど、こうなっていたのか。それにしても81歳の老学者の、現状分析にかける情熱の衰えを知らぬ様子には驚かされる。
同じ「世界」の短期連載をまとめた岩波ブックレットの金子勝&A・デウィットの『世界金融危機』は、伊藤論文に比べるとやや難しいが、「影の銀行システム」について大要をつかむには好適かもしれない。小泉&竹中政権がもたらした「罪」の部分について、とりわけ激越な批判を行っている。たしかに、竹中平蔵がこの期に及んで、しゃーしゃーとテレビに出ているのは、なんかおかしいと私も思う。なんらかの反省の弁があって然るべきだろう。
文春新書『強欲資本主義──ウォール街の自爆』(神谷秀樹)というのも読んでみた。日本は強欲な金融資本主義にまみれず、昔ながらのものづくりをベースにした産業資本主義の強化に進むべきで、金融機関というのはそれを支える縁の下の力持ちに徹すべしという筆者の提案には、私も同感するが、こういう真っ当な議論がこの10年というもの、ほとんど真剣に顧みられなかったのはなぜだろう。
そもそも、アメリカ発の金融危機を現代資本主義の根本的危機ととらえるか、未曾有ではあるけれど、調整・再生可能な局面としてとらえるかは、筆者らのとる理論的立場=イデオロギーを反映するものだ。このあたりが、玉石混淆だから、本の選び方にはけっこう苦労する。ジョージ・ソロス、ポール・クルーグマン、ジョセフ・E. スティグリッツなどの著作が、私の次の読書メニューにあがっているが、さてどうなることやら。
日経、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済はこの間、よく読むようになった。いくつか勉強になることがある。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。