Amazon の古本屋に注文しておいた『マラッカ物語』が届く。鶴見良行の1981年(初版)の著作。今はみすず書房の著作集に収められているが、あの著作集はちょっと高くてねえ、ということで古本を求めた。鶴見の本はいくつか読んでいるが、これは未読だった。3月のマレーシア(KLとマラッカを予定)旅行の準備の一環。
序章にちょっと目を通すと、いきなりタイのクラ地峡に運河を引くという話から始まる。マラッカ海峡のバイパス確保のために計画された70年代の国際プロジェクト。一時は工事に水爆を使うということで反対運動が起こり、その経緯は私にもうっすら記憶があるものだったが、たぶん今はもうその計画は消えている。
住民を立ち退かせて水爆で穴を掘るというのは、たしかに乱暴極まりないが、資本主義のコスト論だけから言えば、今後もありえない話ではない。そういうことに、日本の商社がカネを出し、御用の科学者や技術者が動員された歴史がある。
鶴見の視点は、むろん立ち退かされる住民の側、運河工事で破壊されるだろう伝統的社会に向けられている。そこで、マラッカ海峡の社会史をフィールドワークしてきちんと調べてみたくなったというのだ。
つまんねえ仕事をいそいそと片付けて、週末はこの本にどっぷり浸かりたいなあ。マラッカ関連でいえば、金子光晴と沢木耕太郎も再読しておくべきか。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
マレーシアに行くのなら鳥インフルエンザに気をつけてくださいね。気をつけてもなるときはなるのですが。N95マスク持参で!
H5N1亜型に関してはマレーシアでの感染事例はなかったような。ま、周辺では発生してますけどね。