東京で起業した会社を潰し、女房とも別れ、逃げるように実家のある北海道に帰ってきた男(伊勢谷友介)。兄(佐藤浩市)はばんえい競馬の調教師。弟とは13年ぶりの再会だ。最近ずっと勝てない女性騎手(吹石一恵)、兄を世話しながらも結婚に踏み切れない女(小泉今日子)、廃馬寸前の競走馬「うんりゅう」らとの交流をからめながら、男が立ち直っていくストーリー。
根岸監督の作品を観るのはもしかしたら『ウホッホ探検隊』(1986年)以来かも。正統派的な撮り方で、演出のきめ細かい監督という印象があるが、意外と寡作だ。今年は竹内結子主演の『サイドカーに犬』が公開されたが、単館上映だったためかあまり評判を聞かない。
帯広の雪、馬の息、競馬場の土から立ち上る湯気など、黒と白のコントラストを基調とした端整な映像が美しい。Y・Nさんの日記に出てきたタウシュベツ橋梁が雪に映えて美しいたたずまいを見せる。綿密に計算されたシーンを丹念に積み重ね、静かに語りかける映画づくりは好感がもてるが、いまどきの映画に比べると少々「古典的」味わいといえるかもしれない。雪玉を屋根の上に上げて馬の無事を願うシーンは、タイトルの由来でもあるが、二度使うだろうなと思ったら、その通りになった。
俳優陣は健闘。伊勢谷の甘えてふて腐れた口調はちょっと気になるが、これもダメ男の再生の物語ゆえの演出か。佐藤、山崎努らベテランに引き立てられ、演技にはなっている。伊勢谷の元同僚を演じる小澤征悦が意外といい。吹石も女性騎手役を体当たりで好演。
ちなみに、北海道遺産にも指定されるばんえい競馬は、協賛する自治体の財政難でいまや風前の灯火。今年度はなぜかソフトバンク・グループが支援していることは、先月のソフトバンク取材で知った。(DVD、☆☆☆★)
先日のNHK-BS「週刊ブックレビュー」などを参考に、ポピュラーサイエンス系の本などを購入。bk1にて。
・吉田太郎著『世界がキューバ医療を手本にするわけ』築地書館
・福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』 (講談社現代新書 1891)講談社
・西成活裕著『渋滞学』 (新潮選書) 新潮社
・ギャヴィン・プレイター=ピニー著『「雲」の楽しみ方』河出書房新社
・三澤慶洋著『図解でわかる飛行機のすべて ─飛行のメカニズムから航法・離着陸まで』日本実業出版社
・竹田いさみ他編『オーストラリア入門 第2版』東京大学出版会
最後の二つは入荷待ち。
それからディリー・バックアップ用の外付HDDの容量がいっぱいになったので、秋葉館の通販で500GBのHDD(FireWire400/Seagate製)を購入。明日到着予定。
本日の晩飯は、近所の「イーノ・イーノ」。イタリア産のフレッシュ・ポルチーニのソティと、北海道産牡蠣のパスタ。ポルチーニの香りに酔い、カキは厚岸じゃなくて別の産地で名前忘れたけど、そのふっくらとした食感にクラっとなる。この店の素材と料理のレベルは年を追うごとによくなっているような気がする。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。