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ひろぽん小石川日乗

心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくれば

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「ひろぽんの南イタリア旅行記」はこちら。

2007-05-06 (Sun)

[life] 連休の散歩

谷根千、浅草、および板橋の新河岸、浮間あたりを散歩。よく歩いて、日に焼けた。花やしきの商店街 花やしき 電気ブラン 荒川沿いの緑地 舟渡あたり 浮間公園

2007-05-07 (Mon)

[movie] GW中の映画

GW中は映画も観た。劇場では『バベル』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)。これにはきわめて高い評価をあげたい。こんな緊張感のある絵づくりをする監督には久しぶりに出会った。人の心の問題と同様に、グローバリズムの不気味さにもきちんとメスを入れている。いわば、世界ー内ー存在としての視野というべきか。昨今の日本の映画にはなかなか真似できないスタイル。この監督の前作『アモーレス・ペロス』『21グラム』も急いで観なければ。

DVDも当たり週間。『白バラの祈り──ゾフィー・ショル、最期の日々』は、独裁政権下における人間の倫理を問う秀作。ナチス末期にはすでに共産主義者・社会主義者の抵抗はほぼ消滅していたが、軍部の反ヒトラー派と、プロテスタント左派はかろうじて生き延びて、そのほんの一部が抵抗を行っていた。

ショル兄妹の白バラ運動には、西欧風の近代民主主義の理想と同時に、プロテスタントの信仰心が背景にある。彼らは神との対話を経て、そこで得た確信をもとにナチズムの蛮行を裁き、倫理的に優位に立つ。だから強い。

ナチスの検察官や裁判官による取り調べは、まさに異端審問官との議論のような様相を呈する。あたかも、ジャンヌ・ダルク裁判のような。結局、ナチスはゾフィー・ショルの神学的な問いにさえ答えることができない。それに答える代わりに、逮捕後わずか4日目の即決裁判で彼らをギロチン刑(!)に処す。ナチスは政治的・軍事的以前に、倫理的に敗れていたのだ。

このような思想対立(宗教的倫理とファシズムとのイデオロギー闘争といってもよい)は、欧州社会に特有のものではない。日本でも一部のキリスト者や新興宗派の抵抗はあった。だが、すべての宗教者が戦争に反対したわけではないのは欧州も同じだ。ファシズム自身がときには宗教的衣裳を身にまとって登場したし、国家との緊張感を失った宗教は、ほとんどが体制に迎合した。そうした負の歴史を、あらためて思い出す。

この政治と倫理というテーマに関連していえば、70年代イタリアにおける新左翼テロリズムの倫理問題を扱った『夜よ、こんにちは』(マルコ・ベロッキオ監督)がそこそこ面白かった。ここでは、ファシズムに勝ったパルチザンの末裔としての新左翼が、キリスト教民主主義者に倫理的に敗北しているのである。

それらの作品とはほとんど関係ないけれど、今春からスペイン語を勉強し始めた関係で、スペイン語圏の映画は積極的に観ようと思っていて、そこで引っかかった『僕と未来とブエノスアイレス 』(ダニエル・ブルマン監督)という作品もなかなかの佳作。

アルゼンチン・ブエノスアイレスのユダヤ人社会が舞台。ガレリアと呼ばれる商店街の、個性ある面々が、ヒューマニスティック=ユーモラスに描かれる。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ 燃える海 [「今春からスペイン語を勉強し始めた」・・・あれッ!? 英語の勉強は完結したの?]

_ ひろぽん [「燃える海」さんって、もしかして海の炎の方ですな。語学の勉強に「完結」はありませぬ。英語のほうは、テレフォン英会話を..]


2007-05-16 (Wed)

[movie] 『ダブリン上等!』

これはオモシロい。画像の説明ストーリーを説明するのはちょっと面倒だけれど、スタッフ・キャストと共に、メチャ旬な感じのアイルランド映画。老若男女の皮肉な愛の群像劇。みなそれぞれ個性的だが、どこかズッコケている登場人物たち。それぞれの苦い生活と、もっと苦いユーモア。ほとんど聞き取れないアイリッシュなイングリッシュ。U2からグラナドまで、音楽も最高。http://www.at-e.co.jp/dublin/(DVD/☆☆☆☆/5点満点中)


2007-05-18 (Fri)

[IT] Journlerを使う

Mac上のメモ管理に、先日から Journler というソフトウェアを使い出した。テキスト、Webアーカイブ、画像、PDF、ファイルリンクなどを一括して管理。カテゴリー、タグ、およびフォルダ、スマートフォルダで整理する。Webエンジンを組み込んでいるため、独自にWebブラウザもできる。

ブログへの投稿機能もあるが、現在は、LiveJournal 系にしか投稿できていない。類似のツールとしては、MacJournal(これまで使ってきている)、Yojimbo(試してみた)などがあるが、Journler はドネーションウェアという点でもオトク。それにしても、Journler はなんと発音したらいいのか。勝手に「ジャンラ」と呼んでいるんだけれど。

[book] bk1のブリーダープログラム終了へ

知らなんだ。今年の7月から終了だって。3月に来たお知らせメールを見逃していた。

まさに「ブリーダープログラムを主に『ご自身のご購入に対してのポイントバック』としてご利用いただいておりましたお客様」である私は困ってしまう。

7月以降は、ビッターズとかの外部アフリエイトプログラムを利用するんだと。その場合でも、自分の購入に対してはポイントがつくし、ポイント率も4%と増えるんではあるが、まずはビッターズに登録して、書籍リンク専用のブログを作って、そこから購入するという面倒な手続きを取らないといけないようだ。うーむ。


2007-05-20 (Sun)

[movie] 『21グラム』

『バベル』アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリト監督作品を、逆順で追っかけ。日本公開時にはそこそこ話題になっていたのを知っていたが、見逃していた。複数の細かいエピソードを、時系列を無視して並べながら、最後にはそれがジグソーパズルのピースのように収まるべきところに収まっていくという手法は、『バベル』にも共通するもの。

画像の説明

魂」というものに質量があるとは思えないが、もし質量があるとすれば、それは21グラムだというのは、西欧の何かの言い伝えなのであろうか。あるとも、ないともという、そのはかない重さに象徴される、人の生と死の間の薄鼠色のような境界線。この作家はそこにカメラをすえながら、登場人物たちの息づかいに静かに寄り添う。

そこに響くのは、ショーン・ペンの体内で死に至る臓腑の音や、ナオミ・ワッツのまさに魂の抜け殻のがらんどうのような呟きだ。神に見放された肉体労働者、ベニチオ・デル・トロの物言わぬ、動物のような瞳も、冥府への境界線に据えられたカメラだからこそ、捉えられた映像だろう。

脚本(ギレルモ・アリアガ)、撮影(ロドリゴ・プリエト)、音楽(グスタボ・サンタオラーラ)のスタッフも、『バベル』そして前作『アモーレ・ペロス』(未見)と同様。注目すべきチームだ。

エンドロールに流れる、Dave Matthews の“Some Devil"という曲が気に入ったので、Amazon で注文。

(DVD/☆☆☆★/5点満点中/公式HP


2007-05-30 (Wed)

[book] 古本の値段が1円

行きつけのネット書店(bk1)に辻原登の芥川賞受賞作『村の名前』(文春文庫)の在庫がなかったので、単行本のほうをAmazonの古本マーケットで探したんだけれど、価格はなんと「1円」でありました。配送・手数料がその340倍もする。リアル古本屋を探す手間を考えたら、341円は安いと思って注文したんだけれど、なんだかなあ。

いまどき稀覯本以外の古本ってのは、ほとんど紙の重さ程度の値段しかしないのね。手数料を分け合って、Amazon もお店もそれなりに利益は出るわけだけれど。


この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。