天気の良い春の金曜午後に誘われて、谷中散歩。2月の東京下町ウェルカムパーティで調べ、極私的に興味のあった店、谷中の「乃池」から「みぢゃげど』へとハシゴ。
「乃池」では穴子寿司をちょっとつまむ程度。ほろほろとした食感は評判通り。それから蛇みちを歩いて、夕陽が落ちる前に口開けの「みぢゃげど」へ。外観はふつうの汚い民家で、暖簾を出してないと(いや、出していても)ちょっと気づかない、というか入りにくいわな。
上品なおばあさんとおじいさんがやっている。おばあさんのほうが、400年続く津軽藩出入りの商家の伝統料理を受け継いだ。シャキシャキとした津軽弁が心地よい。物言いにはちょっと宣伝過剰なところもあるが、ま、それも愛嬌ってとこで。
津軽の地酒が豊富。「ん」という変わった名前の銘柄を四合瓶で頼むと、お決まりの組料理(コース料理)が始まる。
伝統的な地方料理というと、質朴なイメージがあり、実際素朴な味わいなのだが、代々の藩主が京都好きだったということで、系譜的には京料理の影響を受けているようだ。いわば、津軽懐石というべきか。
材料は津軽産の魚や野菜のみを使用。8品ほど並ぶ中でも、ホタテの和え物に上質の卵の黄身をそぼろにしてかけた一品は、高級フレンチのデザートにも似た高貴なたたずまい。最後は味噌仕立ての鱈鍋がでてくるが、この味噌がまた美味いので、思わず最後まで飲み干す。
「地もやし」というものをここで初めて食した。「おいおい、これまで食べていたもやしってのは、なんだったんだ」というぐらい、歯ごたえと滋味があり、もやし本来の香りを認識。
初めて食べる料理ばかりだが、どこかに懐かしさをおぼえる。そのアメイジングな感じも含め、総じて、一人1万円強はけっして高くはない。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
おぉ,懐かしい店の名前が。
「武家料理」じゃなくて「商家料理」の間違いでした。一部訂正