«前月 最新 翌月»

ひろぽん小石川日乗

心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくれば

2002|10|11|12|
2003|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|
IT | book | cynicism | football | goods | life | media | movie | opinion | photo | politics | sanpo | sports | trip
「ひろぽんの南イタリア旅行記」はこちら。

2005-08-01 (Mon)

[life] もう8月かよ

原稿〆切に追いまくられるうちにもう8月か。これから一眠りして朝一番で京都出張の予定。残したのがあるので、すぐとんぼ返りしなければ。こういう状態なのは、土曜日のバルサ×マリノス(再戦)を横浜で生観戦、日曜日の日本×北朝鮮なんぞをTV観戦してたりしてたからなのだが……。でも、ロナウジーニョの妙技は堪能した。

しかし、それにしても原稿料がはっきりしない原稿ってのは、やる気が失せる。職業ライターには400字書くごとに「ちゃりん」と音が鳴るエディターが必要だ。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ kojikoji [お暑うございます。相変わらずのご様子で祝着に存じます。 また、ご説、ごもっとも。業務委託ですから、事前に請け負う業務..]

_ ひろぽん [「ご存じのEさん」って、誰のことだろう。]


2005-08-04 (Thu)

[life] 睡眠破壊

昼過ぎ、取材でJR「国立」に行くつもりが電車内で寝過ごし、目覚めたら八王子。カメラとの待ち合わせまで時間があったので、安心して4駅戻ったのだが、「国立」とばかり思いこんでいたのが、実は「国分寺」での待ちあわせだった。私の電子手帳には「国立」とメモしてある。だが、こちらからカメラマンに送ったメールにはしっかり「国分寺南口」とも。再び電車に乗って、2駅戻る。

奇しくも取材テーマは睡眠の科学。偉い先生曰く「あなたは睡眠破壊状態」。帰りもJRだったが、四谷で降りるべきところが今度は御茶ノ水まで寝過ごした。夏の日の午後はレム睡眠。

[media] ネット言論のファシズム的心性

少し前の朝日新聞に作家の渡辺淳一が、靖国問題にからめ戦時中の記憶について文章を寄稿していた。北海道の炭坑町の子供時代の記憶として、
例えば、伯父がいた三井砂川の家の裏の川沿いには、強制連行されてきた朝鮮人が寝泊まりする飯場があり、そこでは毎夜、朝鮮人がむちで打たれていると聞いていた。伯父には、絶対に行ってはいけない、と言われていたが、ある夕方、友達二人と崖を下りて近づくと、異様なうめき声がし、草むらに隠れて見ると、ほとんど全裸の朝鮮人が「アイゴー、アイゴー」と謝っているのに、さらに殴られていた。
 という自分が見たエピソードを語り、日本のアジア侵略に対する謝罪の必要性を語る論拠の一つとしている。

 愛欲のベストセラー作家にもそういう少年時代があったことに、やや驚いたものだが、他の週刊誌にも最近同様なことを書いているらしい。日中・日韓のナショナリズム論争が喧しい折、その論旨はややナイーブな感がしなくもないが、植民地支配とアジア労働力の強制移入の実態をその目で見たものとして、いま語っておかなければという思いを強くしたのかもしれない。

 ところがこの文章、ネットの右翼サイトや嫌韓・嫌中サイトでははなはだ評判が悪い。
 まあ、大東亜戦争は正義の闘い、アジアの人はみな喜んだ、朝鮮人強制連行はなかった、大虐殺もなかったというSFワールドに自己完結する人々は、「朝鮮人労働者がむち打たれて泣いていた」事実など、見たくない、知りたくない最たるものの一つなのだ。
 そうした右翼言論のなかでも、最悪のものは次の文章だ。この匿名の投稿者は、「ショックやったやろねー、小学校5年生でそんなもん聞かされたり、見た日には」と渡辺を揶揄しつつ、こう反論するのである。
そやけど、ほんまに強制連行(即ち、徴用令と言う法律に従わなかった故に官憲に逮捕)されて連れてこられてたんですか、その朝鮮人たちは?その証拠は?
何で殴られてたんやろ?殴ってた日本人は単純にサディストやったんやろか?
戦争中のことや、作業場にはきついノルマがあったんやろ、ノルマ達成が戦争の勝敗にかかわっているんやと現場監督は上司に怒鳴られてたんちゃうやろか?
戦争の後方支援の末端でも、それなりに頑張っていたんとちゃうやろか?
作業成績がはかばかしくないから責任感の強い日本人監督は頭にきて、或は見せしめで殴ってたんちゃうやろか?
朝鮮人は仕事サボってたんとちゃうやろか?盗みを働いたんとちゃうやろか?脱走を企てたんちゃうやろか?或は過酷な使役に反抗して不当にも殴られていたんやろか?
いろいろと考えが及びまへんか。渡辺さん。当時は無理としても、長じてからは。
 もとより歴史への想像力は人の自由であるが、その想像があまりも、日本国中心史観で歪曲されている。日本人現場監督の心の内を覗く余裕はあっても、ムチ打たれる朝鮮人工の絶望と痛みには、この投稿者はほとんどなんの想像力も働かすことができない。そのことの異常性に気づくことができない。
 もしもそこでムチ打たれていたのが、朝鮮人ではなく、年端もいかない日本人の少年工であったり、あるいはシベリアに抑留され森林伐採の苦役を強いられる抑留日本人兵だったとすれば、おそらくこの投稿のトーンは180度反転するのであろうが……。

 つまり、この投稿者は渡辺が見たものを、植民地支配者・戦争遂行者になりかわって解釈しなおし、渡辺の意識に刻み込まれた戦争に対する忌避感・罪悪感、あるいは自民族中心主義への懐疑を、「ふやけた、幼い、それこそ「感情論」」として切って捨てるのである。
 ネット右翼たちは声高に扇動する。中国・韓国との靖国や領土問題をめぐるナショナリズムの闘いにおいては、こうした渡辺のような「ふやけた、幼い感情論」は百害あって一利なし。一億総出で朝鮮人や中国人のウソを見抜き、次の戦争に備えなければならないのだと。

 国家と自民族が生き延びるためには他の民族などどうなってもよしとする「国粋的冷感症」ともいうべき心性は、ネット言論のあちこちにはびこっている。人々にそのようなニヒリズムをもたらす扶桑社版歴史教科書など、いまさら導入しなくてもこうなのだ。ましてや扶桑社版教科書で教育された日には、ムチ打たれる朝鮮人労働者に同情的な回答などしようものなら、教室では評価的にマイナスとされるのである。
 支配される側への憐憫を、言葉を弄し、歴史的事実を恣意的・主観的に歪めてまで断固として拒絶する心理。もはや、ファシズム的心性と断じるほかはない。

2005-08-05 (Fri)

[life] 翻訳文のリライト

未明に寝る前に新書を読んでいたら眠れなくなって、本日の予定が半日分崩れる。昼頃起きて今日の締切原稿をまずは1本仕上げようと思ったところに、昨日の仕事の追加分というか、先方が「送り忘れた分」がメールで横入り。外資系オフィス設計会社のWebマガジンの翻訳原稿を、通じる日本語にリライトするという仕事なんだが、これがなかなか難しい。

office というと日本では事務所全体のスペースを指すが、欧米では個人の居室スペースのことを意味する場合があり。private office というと、たいていは偉い人用のドア付き個室のことだ。work place, work process などこの原稿に頻出する言葉にも実は定訳がない。work surface とか touch down space にいたっては、概念自体が日本のオフィスに存在していないので、翻訳そのものが不可能だったりする。

むろん下訳はあるのだが、機械翻訳に毛が生えたようなもので、読んでいるだけで頭がチリチリとなる。思い切って削除・意訳してくれてOKと言われているが、会社の製品コンセプトにもかかわるだけに、いつもおっかなびっくり。ま、あれで通っているんだからよしとするしかないか。

なんとか追加分を仕上げ、本来の締切原稿も仕上げ、でも、まだまだ本日中の原稿が残っていて、夕方には打合わせもある。ふー。


2005-08-07 (Sun)

[book] 高橋哲哉『靖国問題』(ちくま新書)

靖国問題について、私には、戦前の仏教やキリスト教は靖国とどう対峙したのか。戦後直後に靖国神社廃止論というものはあったのか。──という2つの疑問があり、本書を手に取った。

本書第三章「宗教の問題」で、著者は前者の設問に答えている。

ここで主に紹介されるのは、浄土真宗大谷派の行動だが、靖国神社に反対するどころか、積極的に迎合してこれを支えていることがわかる。「阿弥陀法の信仰は皇法の中に包摂される」つまり真宗の教義は、天皇に帰一する大政翼賛の体制の中に含まれ、そこから逸脱するものではないという「戦時教学」がその論理になっている。

こうした包摂を可能にする教学の論理は、戦時中のキリスト教団も同じだった。戦中の日本基督教団のリーダーは、植民地朝鮮で神社参拝の強要に抵抗して弾圧を受けている朝鮮のキリスト者を説得し、「転向」を促す役目も担っていたという。

そのような論理を立てなければ、信仰の自由を保てなかったという、戦時中の抑圧体制があったのだろう。ただ、それだけではなく、戦前の靖国神社は「非宗教というカモフラージュ」を擬装しながら、国家的祭祀を執り行う「神社非宗教」というカラクリをもっており、その前に、他の宗教は抵抗することができなかったという事情が大きいと、著者は指摘している。他宗教と靖国のかかわりについては、公明党=創価学会の今後の態度を占ううえでも興味深い。

後者の靖国廃止論の戦後的系譜についてだが、石橋湛山の話が「おわりに」で紹介されている。その後、自民党の総裁にして総理大臣になった湛山が1945年10月に書いた文章である。「大東亜戦争の戦没将兵を永く護国の英雄として崇敬し、其の武功を讃える事は我が国の国際的立場に於て許さるべきや否や」と問うて、「否」と答え、靖国廃止論を述べている。

最近本書を批判した長谷川三千子は「敗戦意識にこりかたまった湛山など、放っておけばよろしい」(雑誌「正論」2005.9)とこのくだりを無視するが、戦後の保守本流の政治家のなかには、戦後の外交政策の見通しのなかで、明確に靖国廃止を語った人がいたことは、記憶にとどめておきたい。

靖国は鎮魂や追悼の神社ではなく、国家のために喜んで死に行く人々を「顕彰」し、そうした人々を再生産するための戦争神社であり、その性格は戦後も一貫して変わらなかった。太平洋戦争はもとより、日清・日露戦争など明治維新以降の、富国強兵と植民地侵略の歴史をそのまま肯定する思想に裏打ちされている。その性格のままに、首相が首相の立場で参拝することは、これは中国、韓国に言われるまでもなく、戦後憲法下の日本人としては、「論理的に」許されない。たとえA級戦犯を分祀したり、無宗教の国家墓地を建設したところで、戦死者を顕彰するという思想の本質が変わらない限り、問題は繰り返されるだろうというのが、本書の基本的立場だ。

むろん、大東亜戦争は正義の闘いであり、日本の植民地主義は間違っていなかったという信念の持ち主には、そのこと自体は痛くも痒くもない指摘だろう。実際、靖国首相参拝支持派のなかにも、首相が靖国神社で「不戦の誓い」など述べること自体が、ごまかしだという人もいるくらいである。「私たちは、英霊のみなさんと同様、これからも国家のための戦争します。だから安心してください」と呼びかけるのが筋というものだ、と。

しかし、世の中はこのような靖国の本質を「正しく」理解し、それを確信する人ばかりではない。なんとなく「国のために戦った人を慰霊するのは当然だ」と考えているような人、「A級戦犯を分祀すれば問題ないんじゃないか」と思っているような人も多い。そういう人々にとってこそ、本書は一読に値する。高橋が展開する精緻で誠実な議論の前に、一度は靖国問題を自分の問題としてあらためて考えてみる必要にかられるはずだ。その議論のための素材とフレームワークを提供してくれる本だと思う。


2005-08-09 (Tue)

[IT] iTMS

遅ればせながら Apple の iTMS-J を使ってみる。fado をキーワードに探して、Cristina Branco が1作見つかるが、ちょっと躊躇。この際、ふだん聴かないものを試してみようと、オペラの世界に入り込む。もとより右も左もわからぬ地。ジャケ写の「顔」に惹かれて、Angela Gheorghiu なる東欧ソプラノ美女のアリア集。アルバムダウンロード1500円は、HMV通販などよりも安い。しかし、あれやね、これはぼんぼん買うてしまうわね。危険やね。今夜はアリアをバックに一仕事。


2005-08-10 (Wed)

[life] ゲラの直し

10日ほど前に書いた原稿のゲラがPDFであがってきた。あれれ、オレが書いた通りになってないな。小見出しはたしかにオレが仮につけておいたのよりよくなっているが、本文は、はっきりいって下手になっている。タイトルもこれじゃまずいでしょ。

担当の編集者に話してもラチがあかない。聞けば編集長殿が手を入れたらしい。別にオレの文章のほうが絶対にいいというわけではないが、オレの文体と彼女の文体がごっちゃになっていて、はなはだリズムが悪い。文体というのはその人の一種の生理のようなものだから、それを文体ごと直すというのは、かなりリスクのあることなのだ。直すんだったら、ライターを唸らせるぐらいもっと上手に直してよ。しかも、編集部の誰ひとり取材の現場に来もせずに、よくやるよな。

と、むかついたところで昼飯を食いに外に出た。白山通りに「つくばね」という小さな小料理屋があって、そこそこ旨いつまみを出すのだが、平日のランチも始めたみたいだ。ま、ランチの味はお値段なみ。

帰りがけ、AYUMI BOOKS でユリイカ増刊『オタクvsサブカル!』を買う。オタクとサブカルって対決するものだったの? ついでに、「NONFIX KNUCKLES(ノンフィクスナックルズ)」(ミリオン出版)という新しい評論誌というよりスキャンダル誌。記事のライター陣は野田峯雄以外は聞いたことがないが、大塚英志がコラムを連載してたりしたので……。廃刊した「噂の真相」そっくりのテイストなのが笑える。

うーん、編集長殿に直された文章を全部まっかっかに直し返してやって、気分せいせいしてから、懸案の原稿を書き出すかな……。


2005-08-11 (Thu)

[football][trip] セルティックとボルトン

俊輔のセルティック・デビュー戦は面白かった。たしかによく機能していた。しかも過剰なぐらいスタンドのファンからの温かい拍手。チームメイトのFWも、こいつラグビーからの転向者かと思うハートソンとか、小柄でイライジャ・ウッドちょっと似のマローニーなど、個性派が多そうだ。スカパー!が全試合生放送というので、今季はしばらくセルティックにつきあってみようか。

と思ったら、中田ヒデのボルトン移籍も本決まり。とにかく試合に出ることが先決だわ。

というわけで、早速、ボルトン、グラスゴーを含むイングランド&スコットランドのフットボール&ウィスキーの旅行企画を夢想する。なにせイングランドはサッカーの母国だから、ワシのライフワークはこれなしでは完成しないのだ。今年中または来年には絶対に行くぞ。ん? 来年はドイツじゃなかったのかよ……

というか、今年は沖縄→石垣→台湾にフェリーで行くのじゃなかったのか。そうでなくてもJALのマイレージのポイントの年末に切れる分だけで、韓国・台湾に行けるんだったな。9月に15年ぶりのソウル、正月に船で台湾、そんでもって来年2月に英国(寒そう)ってのはどうだと、しばし逃避するように脳内ヴァーチャル・トリップ。


2005-08-17 (Wed)

[life] 伊豆大島

13〜15日は、一文の大将一家と常連さん総勢12人で、伊豆大島へ2泊3日の旅。竹芝桟橋からジェットホイルで2時間弱。
海水浴、浜辺でのバーベキュー、リス園・三原山観光、花火大会、温泉、そしてイサキ釣りと存分に夏を楽しむ。ワシは海には入らなかったが、浜辺で寝そべっている間に手足と顔が真っ赤に日焼け。日焼け後用のジェルで処置してしてもらったおかげで、いまは痛いというほどではないが……。

大島はあまり景気よくなさそうな、オールドファッションな観光地。岡田港の大きな土産物屋は、立地的には最高と思えるのに、崩れそうな看板をつけたままに閉店している。三原山登山口にある休憩所は、500人はゆうに入れそうなほどムダに広い。土産物も、いまどき大島紬や椿油もないものだ。三原山登山口
ただ、赤茶けた火山島とばかり思っていたのに、案外、島内に緑が多いのは驚いた。幹線道路から奥まったところに防風林に囲まれて民家が点在している。車で島をぐるぐる巡るのではなく、そういう民家をふらりと訪ねて、もしかしたら、くさやを干したりしている軒下で、島暮らしの一端を聞くというのも、たぶん面白いのだろう。
そのいっぽうで、まだそこそこきれいな海があり、活動を止めない火山あり、ダイビングスポットあり、というのは、もう少し考えてリゾート開発したら、もしかしたら東京に最も近い擬似ハワイになれるかもしれないなどとも思う。しかし、噴火と地震のイメージで長期的な観光投資は難しいのかもしれない。いや、いまどきは擬似ハワイに行くよりは、本物のハワイにみんな行っちゃうのであろうな。

それでもスキューバ・ダイビング客でこの時期はそれなりに賑わってはいた。われわれが泊まった民宿ホテルも、もとは専修大の合宿所だったのを業者が譲り受けたもの。われわれ以外はダイビング客だったみたい。眠れないほどでかい音を立てるクーラー、お湯のでないシャワー、ロビーに寝ている犬、声のでかい酔っぱらいの主人、高い宿泊料金……なんか全体にコストパフォーマンスの悪い大ざっぱな宿だったが、まあ、これもまた夏の思い出。イサキ大漁、岡田港にて
ちなみに、三原山は割れ目噴火口跡を覗いた後は、登山口までで、実際には登らなかった。いまなお戦後史上の謎の一つとされる1952年の「もくせい号」墜落事件のこと話しても、誰も知らなかった。
釣り船を借りてのイサキ釣りは、入れ食い状態。昨年の西伊豆ではみんな“人間こませ”状態になってグロッキーだったが、今年はそんなことはなかった。帰京後、そのイサキをさばいてもらって、一文の座敷で大宴会の夕べなり。

[media] きょうの新聞から

──構造改革が必要なことは皆知っている。だが、効率性・合理性だけが絶対的な価値ではない。社会的弱者への配慮、低迷する地方の再活性化などへの目配りは果たして十分だろうか。「切り捨てられる」側にも社会の大切な価値はある。(天児慧・早稲田大教授「総選挙、アジア外交も語れ」朝日新聞2005.8.17 11面)

──敗戦を境に、民主主義と反戦に日本人は燃えた。だが、「60年安保」の直後に政府が出した所得倍増政策は、国民から政治的関心を取り去ることにほぼ成功した。「当事者ではない市民が広範に立ち上がる」状況を見る機会は、ほとんどなくなってしまった。近年は市場主義的な自由化で、個人はさらに帰属性や関係性を断たれた。いまや「個人が個人として最も輝くのは消費の場」という状態だ。(ノーマ・フィールド・シカゴ大教授「キーワードで考える戦後60年「アイデンティティー」同11面)

──少なくとも国というものは感情論で動いてはいけない。本当は腰が据わっていないのに、感情に流されている途中で何かに火がついて事態が動き出したら最悪だ。(福井晴敏・作家 同上)

──辞世の歌の「国の為重きつとめを果し得で 矢弾尽き果て散るぞ悲しき」も、「散るぞ口惜し」と変更されていた。「悲しい、などというのは、当時はタブーだったからでしょう。あの戦争は軍人のそんな美学に殉じた戦争だった気がする。現実を見ずに、一兵たりとも上陸させずとか言葉だけが優先していた。栗林さんの最期は、そんな大本営への抗議にみえた」(梯久美子・ノンフィクションライター『散るぞ悲しき 硫黄島総司令官・栗林忠道』に触れて 同22面)

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ 小石川ぢ [紫外線火傷の具合はいかがでしょうか?お見舞い申し上げます。あまりにもショボイ宿でしたが、きれいな海と高速ジェット船美..]


2005-08-20 (Sat)

[IT] MacJournal

メモ帳みたいなソフトが好き。最近気に入って使っているのが、MacJournalver.3.13b2一口で言えば階層管理型メモデータベース。個々のメモは「エントリー」と呼ばれ、それらを上位の「ジャーナル」という単位で分類・管理できる。エントリーの手入力のほか、txt, pdf, doc, html ファイルなどが Drag&Drop で保存できる。webloc ファイルもそのままエントリー画面に Drag&Drop すればリンクが貼れる。各エントリーの書式はリッチテキストのように随意にフォーマット可能。

さらに優れているところは、blog 作成用のデスクトップ・クライアントとしても使えること。標準では、Blogger および LiveJournal に置いた自分の blog へのエントリー・アップロードができる。これが当日記システムの tDiary に対応できるか試してみたが不可だったのが残念。そのことがきっかけで、ecto2 など Mac で使える blog クライアントをいろいろ紹介してもらった。 それなりに一長一短あり。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ kusa [WindowsのOffice One Note みたいなソフトですね]


2005-08-22 (Mon)

[life] デジタルチューナー熱暴走

テレビが、というか正しくは、外付のBSデジタル・ハイビジョン・チューナーが、というべきだが、壊れた。2000年製のマスプロ電工のやつ。どうやら熱暴走でどこかの半導体がやられるらしく、電源を抜いて6時間ぐらい冷ましてやるとまた復旧する。しかし1時間ぐらい見ていると、またプツーンと切れる。

前から調子が悪かったのだが、リセットボタンを押してなんとかなっていたのに、今日はリセットも効かない。この種のチューナーはあまり値が下がらなくて、新品を買うと5万円前後する。だったら、地上波デジタルの時代でもあるし、BS・地上波デジタルチューナー内蔵の32インチクラスの液晶薄型テレビに買い換えたほうがいいという案も。現行の28インチの東芝製テレビも、いろいろと気に入らないところがあるので。

今週末からWoWoWでリーガが始まるので、それまでにはなんとかしないと……。

[life] そういえば

掃除機も調子が悪いので、土曜日に買い換えたのだ。日立のサイクロン。兄と甥っ子が遊びに来るというので、久しぶりに部屋の掃除をしようとしたら、へたれこんでいた。動くことは動くのだが、手元スイッチの接触がよくない。モーターもへたっているのか、紙パックを換えても吸い込みが悪い。これも小石川に引っ越したときに購入したものだからまる5年か。人も器械も、この夏を超えるのにふーふーいっている。

[life] 液晶テレビ

いまや「個人が個人として最も輝くのは消費の場」(ノーマ・フィールド)なんである。と開き直って、有楽町ビックカメラで10分間検討の末、SHARPの液晶TV LC37AD5を購入。32インチでいいと思っていたのに心変わりしたのは謎。SHARPにしたのは、「亀山工場製、日本の技術がなんたらかんたら」のPOPの惹句に負けたから。水曜日に到着予定。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ 長官 [65インチにしなきゃぁ。]


2005-08-23 (Tue)

[media] 小泉劇場の女優たち

猪口邦子が横田喜三郎の孫であることも、片山さつきが桝添要一の元妻であることも、藤野真紀子の家庭が崩壊しかけていたことも、み〜んな2ちゃんねるで知った。そういう方面のテレビとか新聞見てない、世間知らずのボク。ま、どーでもいいけど。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ kojikoji [私も負けない世間知らず。芸能方面は、まずダメです。若いタレントや女優など、みんな同じ顔に見えます。ま、ど〜でもいいけ..]

_ kojikoji [民主党の岡田さんを見るたびに、です。 これ、確認画面がないんですね。]

_ ひろぽん [げー、昔は管直人に、ちょい似と言われたぞ。顔が民主党なのか>ワシ]


2005-08-31 (Wed)

[movie] 最近の映画から

3カ月ほど前から、TSUTAYA の DISCASというDVDレンタルサービスを利用している。ネットで予約するとDVDが郵送されてきて、見終わってポストに投函すると、次の予約作品がまた郵送されてくるという仕組み。近所のレンタル屋ではしょっちゅう貸出中の話題作も比較的楽に借りられるし、マイナー作品もそこそこラインナップされているし、なによりレンタル屋に足を運ぶのも面倒な最近の足腰の弱ったオレには便利かと思って……。

月額固定会費制を選んだので、その月に1本も見なくても会費は徴収されるし、枚数割りにすると割高ではあるのだが、それがかえって映画を観る習慣づけになるのではないか、という思いもあった。

このシステムを利用して最近見た映画から。

「ベッカムに恋して」(グリンダ・チャーダ監督、2002年)は、ただの少女スポ根ものかと思ったら、イギリス社会におけるマイノリティー差別、さらにそのインド系移民社会における女性差別の問題も複合的にからめて、ちょっぴり社会派的なコメディ作品だった。
試合中に「パキ!(パキスタン系への蔑称)」とののしられ、逆切れしてレッドカード退場となった主人公の少女が、それを訴えると、「オレだって、アイリッシュなんだよ」と監督が慰めるシーンがある。ポストコロニアル的構造をいまなお孕むフットボールというスポーツの一端をかいま見せてくれる。
主人公のインド系美少女、パーミンダ・ナーグラのフットボールへ込めた情熱がステキだ。その後美しく成長したキーラ・ナイトレイが、ツートップのもう一人のFW役でからむ。冒頭にサッカー解説者役で登場しているのは、ほんもののギャリー・リネカーではないか!というサッカーファンならではのお楽しみも。
「魔王」は「ブリキの太鼓」のフォルカー・シューレンドルフの96年の作品。うかつなことに、この映画の存在をオレは知らなかった。子どもの心を失わないゆえに、子どもたちから愛される男が、戦争とファシズムのなかで翻弄される物語と、一口でいえばいえるか。
読んでないから確実なことはいえないが、おそらくより大河的なんであろう原作(ミシェル・トゥルニエの小説)を映画が消化し切れていないうらみも残るが、それでも印象的なシーンがいくつもある。不思議な歌を唱うユダヤ人の少年を肩車しながら、燃えさかる館を抜けて泥地をさまよう主人公の姿には、救世主的な宗教性さえ看取される。孤児院での生活やヒットラー・ユーゲントの養成所のシーンには、監督のホモセクシャルな少年愛嗜好がかいまみえたりして。ジョン・マルコヴィッチ怪演。
ホモセクシャルといえば、93年のキューバ映画「苺とチョコレート」は、社会主義体制下における同性愛がテーマ。正直、最初はくねくねオトコに抵抗があったオレではあるが、だんだんその生き方にシンパシーをもつようになった。こういうマイノリティー映画は嫌いではない。

ほかにも5月以来のレンタル作品をタイトル、制作年・国、評価(☆5つが最高点)でリストアップすると以下のようになる。レンタル履歴が簡単に参照できるのも、DISCAS の利点の一つだ。

「太陽の雫 」(1999年/オーストリア/カナダ/ドイツ/ハンガリー/☆)

「僕の彼女を紹介します」(2004年/韓国/☆☆☆)

「茶の味 」(2003年/日本/☆☆☆)

「ヴェロニカ・ゲリン 特別版」(2003年/アメリカ/☆☆☆)

「グッバイ、レーニン!」(2003年/ドイツ/☆☆☆☆)

「八月のクリスマス」(1998年/韓国/☆☆☆)

「アフガン零年」(2003年/アフガニスタン/日本/アイルランド/☆☆☆)

「ツバル」(1999年/ドイツ/☆☆☆☆)

「ブラディ・サンデー 」(2002年/英・アイルランド/☆☆☆)

「ヴァンダの部屋」(2000年/ポルトガル/ドイツ/フランス/☆)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ kojikoji [そんなサービスがあるとは知りませんでした。私も足腰が弱ってきたので、「いながら系」の便利さにひかれます。 それにして..]

_ ひろぽん [時間、あるのかもしれない(笑)。でも、まだまだ観たりないです。]


この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。