13日はSとの定例の映画会。韓国軍事政権下に、朴大統領の理髪師になった男の一家の物語。『殺人の追憶』であらためて注目したソン・ガンホ主演。国家権力へのたくまざる批評精神、したたかな庶民のユーモアなどうまく描かれている。陰惨になる部分をあえてユーモラスに処理する画法は、一種の余裕と取るべきか、それとも娯楽作品にするための必定なのか。Sは「菊」は日帝の象徴だというのだが、それは気づかなかった。
監督のイム・チャンサンという人はまだ若いんだねぇ。若い人にも歴史意識があり、映画への信頼があり、民衆に寄り添う視点があることが、はっきりみえる映画ではある。(☆☆☆1/2 {☆5つで満点})
映画を見終わった後、大久保のコリアン・タウンで焼肉して韓流に浸る。韓流グッズの店がいくつかできていて、あらためて驚く。ただ「鐘路本家」という店はあんまり美味くない。
さらなる韓国映画への興味で、その晩、借りてくる。新感覚サイコホラーという触れ込みで、たしかにホラーなんだけれども、それ以上に、高層マンション群に代表される都市近郊における孤独と不安を形象化した作品とみるべきだろう。その意味では日本の近年のホラー映画と情景や背景は共通する部分が少なくない。そういう現代風景の地のなかに、シャーマン的な土俗的要素をもった人物が紋様として浮き彫りになる、まだらなアジア的近代。高いところから墜落するシーンが3度あり、その墜死への監督のこだわりは何なんだろう。ただ、高層マンションから落ちてくる墜死者と一瞬目があってしまうというエピソードは、どこか別の映画で観たことがあるような。(☆☆☆1/2)
ルシネマで売っていたので購入。2001年の号で、昨今のいわゆる韓流ブームに乗ったわけではないが、逆に同誌の先見性を感じる特集。外国映画の参入をあえて阻み、自国の映画人を育てるという国の映画政策についても若干の解説。突如として『シュリ』や『JSA』それ以降のヒットがあったわけではなく、それに至る韓国映画の源流や軌跡がある程度たどれるものになっている。
韓流とはいうが、昨日の韓国KBS放送(NHK-BS放映)では、今年明けてからは日←→韓の観光客が減少気味。竹島(独島)問題や現韓国政権の対日賠償見直し発言などが影響していると報じている。だが、表層的なブームなどは去った方がいい。そういうものとは別に、朝鮮半島へのまっとうな関心は持続してきたのだし、これからも持続すべきなのだから。
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