豪州取材旅行でボーとしてしまったか、「帰国したらすぐマキで行きますから」といっておいた仕事が滞って、ヤバっ。だって、リゾートの濃密度が全然違うんだモノなあ、ウソっぽいほうは書く気が起きないっすよ。間に、ほぼ「即上げ」要求の他の仕事が2件あって、福岡行ったり、厚木行ってたりしてたことも実はありまして……。で、そうこうするうちに明日からは泥臭い茨城転戦取材が始まっちまう。今晩は寝ないでなんとかしないとな。
ともあれ今週はそこんとこをすっきりさせて、来週からは別件の仕事をスムースにスタートさせたいもの。なぜか今週金曜日からの1週間で、飲み会が立て続けに4件と、社交機会の集中度も妙に高い今日このごろなんですわ。
なんだかんだで、12月中旬までは目一杯仕事をして、トヨタカップの決勝戦を見た後の後半からは、のんびり琉球弧を船でクルーズしながら台湾への旅という年内スケジュールを構想中(できるかな?)。
水・木と日立グループのお膝元、日立市と土浦市で、某日立○○社の工場取材。とりわけ日立市のそれはトタン屋根の形とか会議室のしつらえなど、昭和のレトロな香りがプンプンする。今となっては古くさい意匠の日立マークが、ここではまだ健在だ。昔は、みんなこういう工場で働いていたのだなあ、日本の製造業労働者は。
うちの親父もそうだった。私は親父が機械設計技師として勤務する化学メーカーの工場に隣接する社宅で育ったのだった。途中から雨が降ってきた夕方など、親父を迎えに工場の門の外で傘を持って待っていたことをふと思い出した。父の作業服からは、うっすらと機械油の匂いがした。
街を探索するヒマもなくトンボ帰りで帰京。
14日(月)古い女友達たちと小石川でイタ飯。50歳でも老け込んでないのがいいねえ。
15日(火)昼、白金の明治学院大で四方田犬彦をインタビュー。30分だけだったけれど、ワクワク気分。とても楽しくてスマートで温かい感じのする人だった。愛読する作家に会えてポワンとなるミーハー少女みたいに、最新刊の『ブルース・リー 李小竜の栄光と孤独』にサインをもらう。いっそのこと一緒に写真を撮ってもらえばよかったなあ(笑)。
夜は、高円寺で上京中のN夫妻と沖縄飯。高円寺は久しぶり。北口界隈は変わってないといえば変わってない。下手な大手資本やチェーン店ではなく、地元の商店がしっかり根づいて店を張っているからでもあろう。深夜帰宅。
著者サイン入りの四方田犬彦『ブルース・リー──李小龍の栄光と孤独』を読了。カンフー(著者によればクンフーと発音すべしとのこと)のポストモダン的なかつ哲学的な継承者たらんと志しつつも、香港という植民地との距離の取り方を探しあぐね、死後は世界の抵抗的ナショナリズムを鼓舞する表象として神格化されたブルース・リー。一カンフー・スターの演技を、ここまで深読みすべきか、ちょっと戸惑うところだが、映画分析手法の一例としてなかなか面白かった。実はこの人のまとまった映画論を読むのは初めて。これまでは旅のエッセイとかが多かったから。文中、「メケメケな」とか、「コレオグラフィー」という単語が註釈抜きに出てきて面食らう。後者は「振り付け」と解せるが、前者については「メケメケな演技」とか言われて、はて、どう解釈すればいいのか。
映画論の流れで引き続き、川村湊の『アリラン坂のシネマ通り──韓国映画史を歩く』へと進む。著者の『海を渡った日本語──植民地の「国語」の時間』は、戦中、南洋諸島で日本語を教えた中島敦らの仕事に触れながら、植民地支配の過程における日本語教育の問題をえぐる大変優れた言語帝国主義論だった。こちらはそれとうってかわって、やや軽い筆致、どっちかというと趣味的なタッチで韓国映画の系譜をたどる(ま、映画が本業の人じゃないんでね)。
四方田も川村もほぼ同年代で、共に韓国の大学で教えたことがあり、かつその地で映画を観まくったという共通する経験がある。対談でもさせると、さぞかし面白い話が聞けそうだ。
昨日も神谷町→横浜、今日も横浜→秋葉原→日比谷、土曜日も半日八重洲近辺という展開になる予定。社会人大学院の取材なんだが、みなさん、もう賢そうなお顔をしてらっしゃる。取材が忙しくて、原稿を書く時間がない。寒いかと思ってコートを着ていったら、電車の中の暖房で汗が出た。
来月中旬の某媒体の忘年会。小石川でやることに。制作担当者だけで軽く一杯のつもりだったのが、担当部局の部長さんまで出席するとかで、おおごとになりそうだ。次の次の次ぐらいの社長候補と噂されている人だしなあ。粗相があってはいかんが、しかし、ワシが音頭とって接待してもしょうがないしなあ。
年末年始の琉球・台湾行き、ようやく具体化の兆し。ヴァーチャルトリップのプランニングは実に楽し。
この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。
_ N田 [ワニの絵が最後で音沙汰ないと...何かあったのかと(^^;)]