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ひろぽん小石川日乗

心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつくれば

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「ひろぽんの南イタリア旅行記」はこちら。

2005-10-03 (Mon)

[life] 月曜日

月曜日はRMA×マジョルカ戦(チンチンにされてら)を横目で見ながら、未明からお仕事。途中、昼寝をはさみ、原稿を3本仕上げる。デカいのがとりあえず1本残っているけど……。電話はともかくとして、昼間、直に言葉を交わしたのは国勢調査票を取りに来たおばさんのみ。こういうときは人寂しくなって、ついつい日が暮れたころに飲みに行きたくなる。先週来、ちょっと胃の調子が悪いんだけれど。京都だなんだと遊びすぎたか。


2005-10-08 (Sat)

[life] 火野葦平

朝日新聞の土曜特集面で知ったこと。ペシャワール会でアフガニスタン現地医療に取り組む中村哲医師は、火野葦平の甥っ子で、火野が『花と龍』で描いた両親、北九州・若松の沖仲士、玉井金五郎とマンの孫に当たる。京都精華大の池田浩士氏には『火野葦平論』があり、池田氏はまた「日本寄せ場学会」会長で、この学会は会員が年に1週間、日雇い労働に出るという「すごい学会」なんだそうである。

火野葦平は残念ながら読んだことがない。ただ、中村哲については一、二冊、池田浩士は学生時代から折に触れ読んではきた。しかし、あのか細い池田氏の体躯は、はたして日雇い労働に耐えうるのだろうか。

私のささやかな関心空間の中で、何かと何かがぶつかって、小さな火花が散った感じがした。


2005-10-11 (Tue)

[movie] 『四月の雪』

ホ・ジノ監督 ☆☆☆★(3.5/5点満点)@日比谷スカラ座

重大な交通事故の知らせで、配偶者の生命の危機と同時にその不倫を知らされた一人の夫と一人の妻。それは「私、何か悪いことをしたのかしら」(ソン・イェジン)というぐらい、平和な日常に訪れた青天の霹靂なのだった。いわば二重の意味で配偶者を失った者同士が、やがて不信と悔悟の泥沼から半身で立ち上がり、復讐と慰めという感情のままに、そして行き場のない焦燥に身を任せるようにして愛を交わす。

あらかじめ欠損を抱えた個として出会い、その欠損を満たすべく倫理を越えて一線を踏み出す、男と女の共同正犯に至る過程が映画の過半を占める。やや冗長な感もなくはないが、映画の説得力を担保するためには必要不可欠な仕儀であったろうと、私は弁護する。その長き前半があってこそ、初めて濡れ場の情感が生きる。

やがて、片側は配偶者を永遠に失い、片側の妻は蘇ることで、不倫の二人の共同正犯=平等関係はバランスを失う。そのアンバランスのなかで、「これから先どのように生きるべきか」は誰も答えを持たない。そもそも、下弦の細い月のように失われた者同士として出会った二人には、満月などは似つかわしくない。欠損を、つまりは新たな出会いによってより深く隈取られるようになった月影を抱えたまま、生きるしかないのであろう。

物語を皮相にみれば、事故はあったものの、本妻は生き残り、愛人もゲットしたヨン様だけが得したような感じもしなくはないが、そういう見方はなんつーか下世話的すぎる。損得論だけいっても、やっぱ妻は死んだほうがこの場合、結果的には都合がいいもの。やはりイェジンよりは、ヨンのほうに、より人生は苛酷だというべきだ。

ちなみに、タイトルの四月の雪とは、解けやすい淡雪というよりは、ここでは季節と人の尋常ならざる邂逅の謂いであると理解した。

書き込む前にネットの批評を読んだ。ネット上で何事か語ろうとするような映画ファンは、おそらくはヨン様ファンではないので、ミーハー風に思われたくなくて、みな言い訳しながら書いているのが笑える。そのなかでは、この評者の分析はそれなりに的確。

上記サイトも言うように、これはヨン様のではなく、ホ・ジノ監督の映画として<玄人風に>観るべし。同監督の恋愛映画手法は成熟の極みにありと思う。台詞の少ない静寂な印象の佳作。まさに映像のバラード=民衆的小叙事詩人の面目躍如だ。


2005-10-12 (Wed)

[life] くたかたの日々

昨夜は晩ご飯に、久しぶりに小石川の「アルペッシェドーロ」に出かける。10月のお魚は、いとより鯛のアンコーナ風。美味い。しっかりデザートまで食ってから、伝通院の坂を降りて、仕上げに一文で「想天坊」をきっちり一杯だけ。しかし、たいていの blog の内容てのは「何食った、何買った」なんであるなあ。ワシのも例外ではないが……。食った買ったであるから、「小石川くたかたの日々」とでも改称しようか。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ 小石川ぢ [食いしん坊バンザイ。食欲と睡眠欲の秋をたのしみましょう。 「いとより鯛のアンコーナ風」 想像もできませんので、次回か..]


2005-10-15 (Sat)

[IT] 金曜

昼、青山で取材の打合わせ。夜、神保町でミニ打ち上げ。その後、小石川で飲み、フリの女性客と話し、そろそろ酩酊状態のところを白山あたりにラチされ、なんか食べているうちに眠りこけ、カネを払わず、家のそばまで送ってもらって、帰宅したとたんに意識を失う。

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_ 小石川T(偽者) [ ラチとは失礼な!正しく書かなければ。    拉致・拉致・拉致!  軟禁、楽しかったでしょOTL!!]


2005-10-17 (Mon)

[movie] 暗い日曜日

どうにも土日の使い方がうまくいかない。結局、ただ寝ている時間のほうが多かった。天気もすぐれず、悔いばかりのみ多かりき暗い日曜日。

それでもDVDで『血と骨』(崔洋一監督/☆☆☆)、『暗い日曜日』(ロルフ・シューベル監督/☆☆☆)を観て、四方田犬彦のイスラエル、パレスチナ、セルビア紀行『見ることの塩』を読み続け、bk1から届いたアボリジニ文化と美術に関する本をチェックする。

映画『血と骨』は衝撃的な大作。同じ原作者の映画化作品『夜を賭けて』(金守珍監督/☆☆)などに比べても、崔洋一の演出はきわめてリアリティがあり、なかでもビート・たけしの不気味な怪物性を引き出した手腕は評価されるべきで、日本への朝鮮人移民の歴史に家庭内ファーザー・コンプレックスを織り交ぜドラマとしての水準も高い。冒頭と終幕、済州島から大阪港に向かう船のシーンに、私はふと、エリア・カザンの『アメリカ アメリカ』を思い出したりした。

ただ、惜しむらくは父・金俊平の暴虐を支える内面を、見ている側がよく捉えきれないところ。捉えきることなど監督にも不可能で、それはそれで放ったまま見せていくという考え方なのかもしれないが……。

『暗い日曜日』は1930年代のハンガリー・ブダペストのレストランを舞台にした愛と復讐の物語と、とりあえずは言っておこう。時代が時代だけにお決まりの、ナチスとユダヤ人迫害問題もからんでいるのだが、それを背景に描かれたニンフォマニアすれすれの女性の物語ともいえる。面白いことは面白いのだが、いまひとつのめり込めず。

[life] きょうの関心

・アリス・ポール 参政権

・circle unbroken

・ミュージックボックス ガブラス

・カポーティ 映画

・康 珍化

・TOKU

・ピザヌ通達

・ウィルソン・フィリップス

・ディジュリドゥ

・アボリジニ

・ベルリン・ユダヤ博物館

・ダニエル・リベスキンド


2005-10-18 (Tue)

[life] 売文という仕事

先月からかかっていた某社のオフィスデザイン研究誌の原稿を遅れながらもなんとか今週初めに送った。

企業経営とオフィスデザインの関係を研究するというのだが、むろんワシはその専門ではない。ただ、専門研究者の原稿は別にあるし、ワシの担当部分では企業のオフィスプランをベーシックに取材してレポートしてくれればよいというので、引き受けた。某外資系オフィス家具メーカーのPR媒体の仕事をしばらくしていて、その方面への多少のアタリと、テーマ自体への興味・関心がないわけではなかったし……。

取材は大変面白かったが、文章にするとなるとなかなか難しく、原稿の仕上がりも水準的にどうなのか、いまもって心配ではある。

とはいうものの、制作にあたっているN社の編集者の評価は「OK」ということだった。今朝も別件の仕事を頼まれた(日程的に合わなくて断ったのだが……)。ワシの原稿を読んでいる編集者から、別の仕事を頼まれるというのは、売文稼業の端くれとして、嬉しくないと言ったら嘘になる。いや、正直、チョー嬉しい。たとえそれがどんなに細かい仕事ではあっても。

そうやって自分の技能を売り繋ぐことで、なんとか食べていける。それが、はたして何歳まで続けられるのか、という不安は残るのだけれど。


2005-10-19 (Wed)

[life] 四谷

四谷で飲み会。編集1、ライター2、カメラ1の構成で楽しく飲むはずだったのだが、途中からオレの知り合いのライター2を巻き込んでしまったのが誤算だったか。話題が微妙に「靖国」「差別」などの政治問題に流れる。イデオロギー論争の技術的イロハに慣れていない40歳前の人を論破するのは容易なことなのだが、論破すること自体には何の意味もないしなあ。なにゆえ人は政治に熱くなるのか。要は犬のしょんべん掛け、縄張り争いにすぎないのだとは自戒しつつ。

[life] CDセール中

小石川近辺のみなさまへの情報っす。

地下鉄後楽園駅ビル「メトロ・エム」4階の「丸善ブックメイツ」で、CD/DVDが50%OFFのセールをやっていた。なんでもCD/DVDの扱いをしなくなるので(ということは文具オンリーになる?)売り切り処分とか。5割引きとなると俄然食指が動く。キューバン・ミュージックやらドイツの若い女の子のポップスやら、めちゃくちゃな基準で4枚ほど購入。しかし、最近の洋楽や J-POP は人の名前がわからんわい。


2005-10-22 (Sat)

[life] 軽井沢ほか

秋の旧軽井沢木〜金。泊まりがけで軽井沢のリゾートホテル取材。新幹線で行くとあっという間なんだなあ。帰京後、渋谷で取材。一文に行ったら常連さんばかり。あの、つのだ☆ひろが奥さんと来店。軽く言葉を交わす。帰宅するなり撃沈。
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_ tamachan [今小石川に何故かいます。(^^]

_ ひろぽん [本郷あたりで、学会とか?]

_ tamachan [用件があったのは国立です。現在は神戸にいます。 年内にまたお邪魔する予定です。]


2005-10-24 (Mon)

[life] 打合わせ

朝早くから仕事を始め、短い原稿を数本書いたあと、午後には豪州取材の最終打合わせ。某航空とかそのPR会社とか某政府観光局とか、打合わせのスタッフはオレ以外全員若い美しい女性たちで、少々舞い上がる。向こうは「なんで、オッサンが来るんだよ」と不満なんだろうけどさ。「お気をつけていってらっしゃい」と全員に見送られる。なんかおかしくて、笑ってしまう。

その後、もう一件新橋で打合わせ。こちらも、若い女性編集者が相手なんであるが、論理的に見えない話が延々続き、少々疲れる。原稿の直しだなんだで、例によって出発直前まであたふたしそうだ。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ 小石川ぢ [豪州に行かれるご予定とのこと。 良い(酔い)旅をお祈りします。 今現在すでに豪州でしょうか?国際ローミング対応の ..]


2005-10-27 (Thu)

[trip] ダーウィン

成田からのナイト・フライト。ブリスベンに朝7時過ぎに着いて、9時過ぎの国内線に乗り換えたのだが、なぜか砂漠の真ん中の小さなエアポート「マウント・アイザ」に途中降機。なんでもダーウィン上空が雷を伴う嵐なのでしばらく待機するんだと。ブリスベンを出発する時点ですでに機体の故障で1時間以上遅れており、マウント・アイザでも2時間ぐらい待ち。なんだかんだで結局、着いたのが現地時間の夕方5時過ぎ。昼の予定はすべてキャンセル。それでも、日本語ペラペラのキュートなガイドさんに伴われて、ダーウィン市民が乾季の時期に楽しみにしている木曜夜のナイト・マーケットを軽く取材。ホテルそばのタイ・レストランで夕食を摂る。

明日は早い。いよいよ気温38度、湿度70%のカカドウ国立公園に突入だ。


2005-10-28 (Fri)

[trip] カカドゥ1日目

画像の説明画像の説明エコロジカルなツアーもいいもんだ。5000年前とももっと後ともいわれるアボリジニの岩絵を鑑賞した後、国立自然公園に落ちる雄大な夕陽を眺めながら、ついこんな写真を撮っていた。

2005-10-31 (Mon)

[trip] カカドゥ〜ダーウィン

カカドゥ国立公園の旅を終えて、日曜日にダーウィンに戻ってきた。月曜は州立博物館に行ったり、夜はダーウィン湾をめぐるサンセットクルーズに行ったり……。アボリジニのアーティストに、「いつ頃から絵を描いているんですか?」と尋ねると「ずっと前からだよ」、「この絵を描くのにどれぐらい時間がかかりましたか?」と聞くと「とても長いじかんだったよ」という答え。時間をデジタルな数値ではとらえないという感覚が近代人とかなり違うらしい。 ずっと前から、ずっとこれからも。一見レイジーで、全然パンクチャルじゃないんだけれど、そういうスローな感覚が、実は人を癒してくれるんだなあ。 イエローウォータークルーズたまに人を食うワニシロアリの蟻塚 なんかすっかりくつろいで楽しんじゃった取材だった。ガイドをしてくれた「少年ナイフ」ファンの日本語ぺらぺらの27歳のオージー娘や、ドライバーをしてくれたローマ出身で南米でのガイドを経て、オーストラリアにやってきたイタリア人というのも、取材を楽しくしてくれた要因の一つ。東京に戻ってもすぐに立ち直れるのだろうか、それだけがちと心配。

この日記について、筆者は必ずしも内容の信憑性を保証するものではありません。あしからず。